578話 帳尻は合わない

相変わらずの貿易収支黒字である。


和歌山の親せきの娘さんで、西宮の女子大に行っているえりこが、腰を痛めて道場に通っている。


えりこママには、いろいろとさんざん世話になっている。世話になる機会はさんざんあったのであるが、お世話する機会は皆無に等しい我が家であった。


えりこは、西宮で一人暮らしである。と言っても、運動部に入っているので、そうそう時間もあるわけではない。そうそう出歩く時間もなければ、情報も少なかろうと思われる。そこで道場や実家に来た際には、「時間が合えば、せめてうまいものを食わせること」で収支の帳尻を少しでも合わせたいという、筆者なのである。

しかし、筆者の過去のブログに登場するお店というのに『高級店』は、ない。筆者は「安くてうまい店」を偶然見つけるという才能には恵まれているように思う。


さて道場にお昼に来たので、カジャナにカレーを食べに連れて行ったら、11月の連休、特別バイキング期間中ということで、カレー2種類にナンもライスも、サラダも、タンドリーチキンに、インド風肉団子なども食べ放題であったので、いつにも増してリーズナブルに、腹がはちきれんばかりに食べさせることが出来た。

次は、阪急南方の「たこやき18番」である。てんかすの効いたぱりっとした焼き上がりのたこ焼きである。えりこがいくら食べようと、もともとがたこ焼きであるから、これまたリーズナブルにごちそうすることができた。

今一度は、実家の近所の「パスタの店 ポポロ」であるが、ここは家族一同で出かけた時に一緒に行ったのであった。しかし、ここでは孫にごちそうすることを無上の楽しみにしている母君が会計を担当しているために、我が家の財布はまったく痛むことなく、えりこの腹はふくれたのであった。


これらささやかなごちそうともいえないごちそうは、この孝行娘によってえりこママに逐一報告が上げられていたようである。


一昨日突然、えりこママから「クール宅急便」が届いた。

「えりこがお世話になりまして」

とのことで、まだ生きたままの巨大なカニが二杯(二匹)である。


足はさほど細くないので松葉・越前系ガニではなく、毛も生えていないので毛ガニではなく、思いっきり足が長いわけではないので高足ガニでなく、巨大であるので沢ガニではない。


こうやって容疑者のアリバイを順に消していくと、このかには「タラバガニ」という可能性が濃厚であるが、そう再々お目にかかるわけではないので、確証はない。グーグル検索でタラバを検索して画像で確認した筆者であった。

たこ焼きとカレーバイキング 
 
 VS タラバガニ 生きたまま直送

う〜ん、やはり帳尻が合わない。