617話 ベッドと机と肥後乃守 2

我が家は、「正座」というすばらしい【日本からだ文化】を絶滅させないために、生活のベースは長机に正座である。リビングにも木の大きな座り机。


ただし、子どもたちには、一つずつ「学習机」は与えている。


しかし、ひろ兄は、勉強する時には机には向かわない。リビングの座り机か、上階の和室の座り机である。


上記した「正座習慣」が定着した結果とは思えない。観察してみると、彼は勉強の際、資料、ワークブック、問題集などてんこ盛りでかたわらに広げる習慣があるようである。


学習机の上にそれを積むと、肝心の勉強するスペースは残らない。よって彼は学習机を避け、長机で自宅学習をする習慣を続けた結果、自宅ではイスに座ると脳細胞の活動が停止してしまうようなパターンになってしまったようである。


そして、妹たちの部屋にベッドが入った翌日、彼は、ベッドは部屋の生活空間が激減し、移動経路が消滅するという理由で(推定)不要だという結論を出したようだが、「妹の部屋に家具が増えて、自分の部屋に家具が増えないのは哀しい、さびしい、不公平」という思いは持ったようである。


そして彼は「自分用の座り机をつくる!」と宣言した。


我が家の物置には、家を建てた際の廃材の中の気の利いたものが取ってあった。彼はそれらから天井板の残りとか柱の残りを取り出してギコギコ、トンテンカンやり出した。(つづく)