620話 親部屋の背中に子部屋を乗せて

ひろ兄の部屋は「廊下のようだ」と書いたが、実は上階下階でまったく同じ間取りなのが筆者の仕事部屋である。


廊下のような細長い間取りである。そこに大学の時、合気道部に社会人一般として参加されていた家具職人の森山さん(故人)に作ってもらった、名付けて


「四畳半の壁面一面、上から下まで覆い尽くす全部本棚 推定2000冊は収納できまっせ一号」

を取り付け、逆側の壁面には二つの書類だなと二つのカラーボックスを並べているので、ベッドを置く横幅さえ残っていないのが筆者の部屋であった。

しかも

「四畳半の壁面一面、上から下まで覆い尽くす全部本棚 推定2000冊は収納できまっせ一号」

の隣には、今や見向きもされなくなってしまったあさちゃんの電子ピアノが置かれている。

しかも「今や見向きもされなくなってしまった電子ピアノ」

と引き戸との間には、名付けて

「雨天時用 スチールパイプ組み立て式、上下二段 干し竿4本 両翼からはさらに延長パイプが引き出せてこんなに便利 たくさん干せます 室内物干し1号」

がいつの間にか我が物顔に鎮座されている。


ちなみに壁板は

「四畳半の壁面一面、上から下まで覆い尽くす全部本棚 推定2000冊は収納できまっせ一号」

と書類だなによってほとんど露出しないのだから、無駄なお金はかけまい、という理由でただのベニヤ板である。


この部屋、確か入居前には「お父さんの【書斎】」と呼ばれていたような気がするのだが、筆者の記憶違いかもしれない。今は乾燥室兼不要ピアノ収納庫兼、書庫と化した「通称 書斎」で、窓際に小さなちゃぶ台を置いて、デスクワークする筆者であった。