648話 男のすわり小便 1

2月9日の読売新聞の夕刊に衝撃的な事実が報道されていた。

なんと、現在男性の3割が、「座ってションベンをする」のだそうである。(新聞の見出しではションベンではなく「座って用足し 男の3割」「男のトイレ習慣 変化」「清潔志向 / 妻に言われて」であった)


この立ち小便というのは、筆者が女性に「男性というのはね、これこれこうなんですよ。だからね、根本的に女性とはものごとの見方が違うんですよ」というたとえ話にする多用されるものである。


「男性というのは、非常に目的指向的である」ということを説明するのに、立ち小便は最適なのである。


トイレに入りしなに、トイレットペーパーをひょいとちぎって鼻をかむ。そして、その紙をトイレに捨て、そこから小便を始める、という際、筆者は100%の確率でその紙に水流の照準を当てる。

そして、「よっしゃ、紙を突き破ってやるけんね」と水流をほとばしらせる。


水に浮かぶトイレットペーパーというのは、意外に強いものである。あるいはほんの少し沈んでいるその「少し」が、紙に衝撃をダイレクトに当てさせないバリアの役目を示しているのかもしれない。

とにかく、水槽にトイレットペパーが浮かんでいる際には、100%穴をあけんと狙うにもかかわらず、人生の中で「どぼどぼどぼどぼ」と紙を突き破り、へろへろに雲散霧消させた経験というのは一回もない。


一回もないにもかかわらず、筆者は今日もトイレットペーパーに対して、水流をほとばしらせる。飽くことなきチャレンジャーなのである。


これが雪上立ち小便の際であれば、「少しでも多くの雪を溶かす」ということが使命となる。


というような話を男性にすると、過去、圧倒的に共感を得てきた。


劇団オクトの(先日解散したけど)演出のH坂氏は深い共感の後、


「雪上にて小便をする際には、融雪に励むこともあるが、より長い線を書こう、願わくば文字にしようと試みることもある」


と自身の経験を口にされた。


なるほど、人それぞれ挑戦する種目は多様なようであるが、そのチャレンジジ精神、目的指向的立ち小便という構造は変わらない。


いやいや、待てよ。それはお前(筆者のこと)とH坂氏だけじゃないの?とお疑いの女性の方々もあろう。(男性には深く共感を得ていることと信じる)


しかし、この小便時における男性の「目的達成指向」というものは、我ら二人だけではない!ということを物語る客観的なデータがあるのだ。(つづく)