659話 皮膚 2

表情が心理的なものを反映していることは誰しも異論はないだろう。そして心理的な変動が消化器に異常を起こすこともよく知られている。


したがってしかめっつらや、仏頂面や、深刻そうな顔をしている人が「胃が痛い」と嘆くことは多い。


胃袋、食道、口中粘膜部分、唇、顔と分けたのは人間で、別に体の方として頼んで分けてもらった訳ではない。分けたのは人間の頭であって、地続きの部分が違いに影響し会うというのはすこぶる当たり前である。膝下が冷えて、足先が冷たいのは誰しも疑問を抱かないのと同じことである。


ということは、表情筋のこわばった状態をノーマルな弾力の方へと誘導していくことで、心理的なものや消化器をよりよい状態に誘導していくこともまた可能である。


なんて話をしてから、ニコニコ美顔術では顔をすりすりしている。


というようなことが頭にあるので「皮膚」の「膚」に「胃」が含まれていることに重大な意味があり、古来漢字を作った方々は、発生学的な表情筋と胃袋の材質の同様なことを感知していて、漢字の成り立ちにそういったものが影響しているのでは?と漢和辞典で「膚」を引いたら「はだ」と書いてあった。

ありゃりゃ。

確かにそうだわ。膚という字は「はだ」という字だわ。


「はだ」と言うと「肌」の方ばかりを使っていたから、改めて「膚」の人文字だけをじ〜っと見つめていると、初めて見る文字のように分からなくなってしまっていたのである。


漢字語源辞典のようなものは手元になかったので、この肌に胃が含まれている意味は分からなかった。と、ここまで書いて「胃」の意味を調べれば良かったということに気づいた。


だって、胃袋の胃以外にも意味があるかもしれないじゃない。


ということで、帰宅後にまた辞書で調べることにする。


という具合に「調べる」ということに急に積極的になっている筆者であるが、これは我がブログ道の師匠と勝手に仰ぐ「内田樹老師」の新刊、「下流指向」を昨日読んだことも影響している。という話は「明日の心だ〜」(って今の人は意味わかんないよね)