662話 解剖ビデオ

新聞を見ていたら「日本直販 テレホンショッピング」の広告で、「人体の解剖ビデオ」の広告が出ていた。


大阪や神戸で再々やっていた「人体の不思議展」という「合成樹脂で固めた死体の展覧会」があるけれど、どうもあの「樹脂化した解剖人体」を手がけているドイツの医学博士の、実演ビデオ(あっ、DVDね)のようである。その名も「人体解剖マニュアル」。


扇情的な?コピーが並ぶ。


●本物の人体を使った迫真の映像です!
○21世紀の解体新書。ライブで明かす、私たちの体の不思議
○・・・・わかりやすい解説とともに解剖していきます。
    画面から目を離せない約3時間。じっくりと見れば呼吸から筋肉・血液循環・消化・神経系・生殖・様々な病気のメカニズムなど、ほぼ理解できる内容は見事!


とうようなものなんだそうだ。さらに


●レッスン1 動き
 全身の皮膚を一切傷つけずにきれいに剥ぐ。(筆者 うっ、カワハギをさばくみたいだ)
 頭蓋骨を開き、脳をスライスし(筆者 うっ、脳の薄造りなのか)
 脊髄と一本の長い長い座骨神経を取り出してみせる。(うっ、海老の背わた取りみたいだ)


という具合にレッスン1〜4までずらっと並ぶ。


熟練した職人による「マグロの解体ショー」や「あんこうのつるし切り」というような気分で見ることができれば、それはそれでいいのだろうが、はたしてどうなんだろう。


そうやって、まるっきり客観的に、人体を眺めることができる感性が、筆者の今後にとって役に立つのかどうか、という部分に葛藤し、購入を躊躇する筆者であった。