672話 幸せな記憶
試験休みで朝から練習ができる!というので、府立K高校テニス部へ。前回でざっと概要を伝えた「ニコニコタッチ さすって打とうテニス」を実施。
これがやりたかったんですよ。
一人が打つ。
順番を待つ一人を、別の一人が手足、さらに体幹部と「秘伝のさすりタッチ」でするするとほぐす。力みが取れ、こわばりがほぐれ、関節がぐるぐるくるくるになったところで交代して打つ方に回る。
さらに打つに際しては鉄の掟がある。
ベストショットが出たら、即交代!断固交代!ルールである。
しつこいようだが今一度言う。ミスしたら交代ではない。一発打ったら、その一球がベストショットであった場合は、一球しか練習できない。
これでいいのである。
いいプレーというのは無意識である。「自然に体が動いた」「無意識に反応した」というのは、いいプレーをした選手が異口同音に口にするフレーズである。
身につけたいのはそういう。「自然に体が動いた」「無意識に反応した」と言いたくなるようなパフォーマンスである。
だったら意識的に練習したってダメじゃない、とは誰も考えず、ひたすら反復練習を繰り返す。しかし、ベースの体が整っていない場合は、無理が加算され、ひいては故障につながる。
だいだい、無意識にうまく行った後に意識的に練習してもなかなかうまくいくためしはない。めったにない。色々と考えてしまい、意識してしまい、表層の筋肉が硬くなって、だんだんと崩れていく。それでも数やればいいショットも出るだろうが、その後に出るベストショットはいわば偶然である。
だったら体の条件を徹底していいものにして、力みを取って弾力を付けて、関節をくるりんくるりん状態にして、さらに個々人のひずみを修正して、その後にベストショットが出る確率を可能な限り上げて、打つ。実際、高い確率でベストショットが出る。すぱっと止める。
すると、体は「ベストショットの記憶」しか残らない。
テニスの思い出は楽しいことばっかり。
すると、潜在意識はベストショットの記憶のみを収録する。
強烈な練習を日夜積んでおられる方々からは、お叱りを頂戴するであろう。
「そんなちょっとの練習でうまくなるはずがない!!!」
でも今のところ、うまくなってるんだからありがたい。(明日参照)
量はね、うまくなったら増えていく予定です。それに残念ながら現状のK高校は決して強豪校ではない。上達して楽しくなるという練習を作るための、ポイント切り替えの時期だからこそ必要な練習であると思っている。それにしても、常識はずれの練習を受け入れてくださっているI藤先生、ありがとうございます。
目指すのは勝つための練習、勝てばいい練習じゃなくって、まずは「故障しないテニス」なんです。故障しない→楽しい→うまくなる を模索しております。