686話 天の岩戸

21日 続き

さて、東京武道館を後にして、午後には大阪へととんぼ返り。
5時からは、能・ベリーダンス・武術のコラボ「創作ダンス 天の岩戸」の公演である。



ここでも、新大阪から北大阪急行で12分(14分だったかな)の千里中央というありがたい会場設定のお陰で、5分ほど遅れただけでなんとか間に合う。


いい舞台でした!!


東京や名古屋の会員の人も多数駆けつけてくださっていて、ああ、ありがたい。


「良かったですね〜、この一回だけだともったいないですね〜」


との複数の感想をいただく。


しかし、こういう舞台ものやらイベントというものは、ずいぶんと前から当日まで裏方というのはおっそろしく煩雑で膨大な雑用がある。準備に費やされる費用と時間というものは膨大である。


たとえばパーカッション奏者の和田さん。舞台上で能のバックの鼓や笛とかけあいの即興演奏という「今生で二度とは見られない組み合わせ(プロデューサー 丸尾氏談)」の重要な一端を担われているのである。各種打楽器に銅鑼(どら)までを用意されている楽器の量も半端ではない。


新幹線で移動できる楽器の量ではないし、仮に持ち込めたとしても練習会場まで持ち込むのもたいへんなのであろう、東京〜大阪間をご自分で運転する車で移動された。


10時間運転して二時間稽古して、そのまま車で東京へ帰る。


す、す、凄い。


当日の舞台裏には、劇団Gフォレスタ代表、演劇プロデューサーの丸尾氏人脈を駆使して、新進気鋭のメイクアップアーチストにメイクアップ専門学校の生徒さん、丸尾氏が講師をつとめる声優の専門学校の生徒さん、もちろんGフォレの劇団員のみなさん、能楽関係のご一同様などがずらり。(裏方に名乗り出てくださったミュートの会員のみなさんも!)


主催者でない私が言うのも変な話だけれど、いやあありがとうございます。みなさまのおかげでいい舞台を見ることができました。


そして打ち上げ。


これまた大盛り上がりの会だったのですが、能の梅若先生の「即興 能楽教室」が開催され、希望者は能面に触れたり、かぶらせていただいたりして、これまた「こちら側から見る演者」と「実際の演者が見ている景色」のあまりの違いにびっくり。


能面というのは、ほとんどせまい洞穴の奥から空を見上げているような視界しかないのである。なぜ「空を見上げる」という表現になるかというと、正しい面の付け方をすると、面の目の穴は、目よりも上に来るのである(っていうことを教えていただいた)


この視界で、素戔嗚尊との大立ち回りを演じられていたのですか!


魂の躍動がほとばしり出るような海老原先生のベリーダンスと、視界さえ制限される中で徹底的に内面に向かうことでおそらくは回りと一体化していく能の梅若先生。おおお、すごい。


会場になった甘太郎の座敷からトイレへと続く長い廊下を、首を固定し、軸を立て、すり足で歩く筆者だったのであった。(にわか能楽師ね)


みなさま、お疲れさまでした!!ありがとうございました。