717話 日本国中にわか記者の日?

さて、ここまで書いて、唐突にY下さんは、Y売新聞のみを受験されたのか、M日やA日はどうなんだろう?と思った。一般に「××新聞一筋」という方々よりも「マスコミ志望」でくくられる方々の方が多いように思われる。


さらに、筆者がM日やA日新聞の人事担当者であったら、どういうことを考えるだろうと思った。


ともに公器としての使命を帯びた新聞各社であるが、発行部数や特ダネではしのぎを削り、強烈なライバル意識のもとに日々を送られていることは間違いない。


ある特ダネが出た際に、それによって不正が明るみに出て、社会が健全な方向へとシフトする、という際に、新聞社のデスクは「これで社会が良くなって良かった。M日さん、A日さん、い〜い仕事してますねえ」と、社会健全化の一端を担うもの同士の連帯感を強く感じつつ、ライバル新聞社の健闘を褒め称える、という情景は、まったく想像できない。


担当記者を呼びつけて、特ダネを掲載したライバル新聞をデスクにたたきつけつつ


「これはどないなっとるんや!お前の目は節穴か!どアホ!ぼけ、かす、鼻くそ!」

と罵詈雑言をたたきつけつつ罵倒する、という情景は容易に想像できる。(想像ですよ、想像)


かかる関係にある(と想像される)新聞各社の関係を考慮すると、新人の採用の際にもっとも避けたい事態とは何か。それは採用した記者が、我が社を蹴ってライバル会社に行ってしまう、という事態である。


100人採用した記者のうち、半数がライバル社に行ってしまい、あわてて追加採用をするとうような事態がおこれば、いわゆる「メンツ丸つぶれ」である。人事担当者は降格・左遷・いじめは間違いない(筆者の想像である)


そうすると、人事担当者は本能的にそういう事態を避ける方策を立てるであろう。そのためには、就職希望者が他社の試験を受けられないようにする、というのが良い。そのために新聞社希望の学生を拉致監禁する、という方法があるが、この方法だと人事担当者は降格・左遷・いじめに合う前に、手が後に回り、社会的生命を絶たれるので、採用は避けるであろう。合法的である必要がある。


そうなると方法は一つ。採用試験をことごとくライバル社と同じ日にするのである。


しかし、ここにもう一つ問題がある。採用試験を最初から全て同じ日程にすると、優秀な学生が「我が社」をはなから選ばないという可能性も高くしてしまうというリスクが発生する。これは困る。優秀な学生は我が社へ。そうでない学生は他社へ、という作戦を意識的にも無意識的にも採用していくだろう。


すると、ふるいにかける最初の段階ではできるだけ幅広く学生が網にかかるようにして、徐々に網を絞り、
最終試験ではライバル社とダブるように操作するだろう。


かかる推理が当たっているならば、本日は日本全国大手新聞社最終試験の日ということになり、全国各地で「にわか記者」が取材を繰り広げているのであろうか。


もし当たっていないとしたら、新聞各社に【採用した記者のうち、半数がライバル社に行ってしまい、あわてて追加採用をするとうような事態】を避けるために、どのような方法を採用しているのだろう。それとも、採用者がまったくダブらないという方法が何かあるのだろうか。知りたい。