719話 手足

今日は、出先の帰りに道場に寄られた、S川さんから、手足の左右差に関しての貴重な発見を教えてもらった。


人間には利き手や利き足があって、健康法の流儀によれば「左右均等でなければ、不健康」「歪み左右差の徹底撲滅」を叫んだりするのだけれど、筆者はそれを採用しない。


外見が左右同じに見える人間だけれども、たとえば臓器なんてのは左右まったく均等ではない。


また数世代前の四つ足ほ乳類の走行姿勢を見ると、左右均等には出していない。より遠くへ伸ばす方と手前に引いている方がある。前足も後ろ足もである。


前世代の骨格と筋肉(もちろん臓器や神経系も)を生かしながら、生存環境や方法により適したところのマイナーチェンジを繰り返しているのが、いわゆる進化(進化という言い方は人間が最も優れているという印象を受けるので、あまり採用したくないんだけど)の形式だと理解している。


鯨も馬も人も、骨格的には同じようなものなのである。


だから、いい体の使い方、あるいはどの方向に人の体を整えていくことが的を得ているか、と考える時に、左右差撲滅の方向ではなく、左右の本来の役割分担に適した使い方や鍛え方、整え方を探す方がいいと考える。


もちろん、体がアンバランスに閊え(つかえ)が一杯あるのが当たり前だということではない。


適切に閊えが取れると、さらに左右差(役割分担)が明確になってくる、ということは十分あり得る。


人の中にあるご先祖様たちの骨格や筋肉をどう生かしていくかというのが、ずうっとのテーマであるので、この手足の左右差が再び浮上してきたことはわくわくする。


くっくっく。楽しいなあ。