728話 超ぜいたく目覚まし時計

さて、役者のみなさんとの楽しいひと時を過ごした後、再びサラシャンティへ。


昼間、サラシャンティに横笛奏者の福井幹さんが来られており、

http://art.page.ne.jp/fukui/index.html

筆者は初対面であったが


「あ〜いや 津田さん、どうも、どうも。いつもここでコンサートをやった時に、津田さんの講座のちらしを見て、一度いろいろ質問させて頂きたかったんですよ」


との嬉しいお言葉。体の扱いの職人を目指す立場からすれば、みずからの創意工夫の部分に興味関心を寄せて頂くことは非常に嬉しい。


その時はちょうどサラシャンティを後にして大阪道場へ移動するところであったので、夜に再びサラシャンティでお会いすることにしていたのであった。


再度サラシャンティさんに訪問し、福井さん、清水さん夫妻らを交えて夜中の2時頃までいろいろと話し、弾みに弾む話は、さらに道場へふとんと寝袋を持ち込んでさらに続く。


おそらくは3時にならんとしていて、明日は10時から道場は使われるので9時には起床して撤退していないといけないので、やむなく寝ることにすると、福井さん


「あああ、インスピレーションが湧いてきた!ピアノが弾きたい!!あああ、夜中ですね!!!ううう、弾けませんね。それじゃあ明日の朝弾きましょう、ううううう おやすみなさい」


という状況で寝袋にもぐりこんだ筆者であった。


Z Z Z Z Z


そして朝。


寝袋の中でもごもごやっていた筆者は、なんと福井さんの演奏するピアノで目が覚めたのであった。というと、福井さんが、寝ている私に関係なく弾き始められたようであるが、そうではなく、目覚めかけている筆者に対して、やさしくやさしく目覚めるように弾き始められたのであった。


目を閉じたまま旋律に耳を傾けていると、そう、水を張った器にドライアイスを入れると、水面から白いドライアイスの煙(霧?)がむくむくとふくらんで器の外に出ていく、ちょうどそんなふうでもあり、こんこんと湧く泉のようなそんな音の湧き出る形をはっきりと感じた筆者であった。


ピアノってこんな(形で)音が出るんだ。もっと直線的な音の楽器だと思っていたのに。


弾き終えられた福井さんと話をしてさらにびっくり。福井さんはピアノを持っていないし、習ってもいない。だからピアノのある会場で弾く本番がそのままほぼピアノ歴、ということになる。


さらに福井さんは


「あ、そうだ、やってみよう」


とやおら横笛も取り出して片手に持って口にあて、片手で横笛を吹きながら、もう一方の手でピアノを演奏するという、ブルースリーの「ダブルヌンチャクの衝撃」に勝るとも劣らない妙技まで、(ってテクニックを見せつけるためにされたのではない、念のため。そういうインスピレーションにしたがったまでである)ご披露いただいたのであった。


今日、ここで感じたのは、福井さんの奏でるピアノは水であり、横笛は風であった、ということであった。


さらに清水さん宅へ上がって朝食を頂きながらさらに話は弾み、夕方から京都でコンサートだ、というので、じゃあ西中島の道場にも寄っていきましょうということになる。


阪急電車の中では、立ったまま座ったまま体を整える方、肩が楽になるつり革の持ち方などなどを講じ、さらに横笛とピアノの同時演奏を、筆者の「助さん、格さんは、稽古もしないで町人の振りをして歩いているだけなのに、なぜ強いのか理論」にのっとってご説明申し上げる。


道場でも日本人の体の特性とか、質良く心を込めて敗れる側に回ることで上達できる武術稽古とか、実はあなたの体は固くない柔軟法や、ストレッチらない方がいい、導かれッチは無理なく効く、人間はタケノコだ理論、とかにさらに話が弾む。あまりにも弾んだため、その内容は膨大であり、とてもブログで開陳できる分量でない。


とってもおもしろいお話と演奏をてんこ盛りで聴かせていただいた筆者であったのだった。福井さんありがとうございました。