751話 げんき
M浦さんは70代の女性。年明けに転倒して背骨を痛めたとかで、それがなかなか良くならないので、見るに見かねた姪御さん連れられて来た方だ。とっても内気そうなかたである。自分からは外出しないので、姪御さんのやや強力なお誘いがなければ、なかなか道場まで足を運んでもらえそうもない、というのが最初の印象。
消え入りそうな声でやって来ては、少しずつ元気を取り戻す毎週。
姪御さんと一緒にヨガのレッスンに参加し、そのあとに整体をセットにして受けて帰るのが土曜日の午後の定番になって三ヶ月弱。
寝返りも打てないと言っていた体は、いまではお遊戯「芋虫ごろごろ」的な動きも平気になっている。
しかし、今日は元気がない。
「はあぁあああぁああ、しんどい」
順調に整って元気を回復してきたと感じていたけれども、そうではなかったのね、とちょっとこちらはがっかり。まあ波はあるから。
と、横から姪御さんがコメントを添えた。
「せんせ、実は先週の整体が終わったあとで、『これから梅田に買い物にいってくるわ!』って一人でさっさといっちゃったんですよ」
えっ、ここまで来るのも難色しめしてたのに、梅田方面なら帰り道とは逆じゃないですか。
「それで、GWに淡路島の実家に帰ったんですけど、その時に食べたトマトが美味しかったから、もう一度食べたいから、一緒に淡路島に行こうなんて言うんです」
「私は平日おつとめだから、さすがに日曜まで出かけるのはくたびれますから、断ったら、結局母と一緒に行って、トマトとタマネギをいっぱい、がらがら引きずって帰ってきたんですよ」
なんとお元気になったこと。
道場まで息も絶え絶えで来られていた方が、淡路島まで「日帰り トマト買い出し 弾丸ツアー ついでにタマネギもてんこ盛り」が可能になっちゃったってことね。
あまりに張り切りすぎて、週の後半反動が出た訳である。
体調が万全になることは後回しでもいいと思うのである。こういう気分の前向きさが出てくれば、体は後からついてくる(って実際には体と心は切り離せないから、そういう気分になれる体に整ったということであると思う)に違いない。
体調を尋ねて、「ここがまだ調子悪い」「ここを故障した」ということは比較的みなさん活発におっしゃるが、「こんなに元気になりました」ということはあまり報告されない。
元気・・・元の氣。
ようするにその人のもっとも自然な状態に帰ることが元気なわけであるから、ご本人、元気な状態というのにはきわめて違和感は少ない。自然である。ナチュラルである。特別な状態は報告の対象として思い浮かぶが、ナチュラルな状態は「ず〜っと前からそうだった」と思ってしまうようである。
道場に来ていない時間、ず〜っとしんどい思いをしていて今日も元気がないのと、張り切って淡路島まで出かけて、くたびれているのでは意味が違う。
そういえば、筆者、昨夜「朝まで生テレビ」を見ながら「研究ノート」を書いていたら、何か乗ってきて、結局「朝生」が終わるまで「ノート」にせっせとアイデアを書いていたのである。朝4時になったので、いくらなんでも徹夜はまずいと寝たのが4時半。
7時半には起きて、10時〜7時前まで道場で二クラスと整体。途中Y木氏と打ち合わせをはさみ、帰りの電車でも寝るわけでもなく、このブログを書き(今、泉佐野です)9時に和歌山に帰って、さらに出張に出かけてお二人整体という一日。でもなんか快調。
よ〜っく考えたら、これでくたびれないってのはやっぱり感謝しなきゃ。
ありがたやありがたや。
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