752話 和歌山の休日
今日は、まいちんとあさちゃんともにお休み。
一昨日がけっこう気合いの入った雨だった。これならば、ふだんは水量の少ない紀ノ川でもそこそこの水量になりそうである。推定・絶好の紀ノ川カヌー日和だったので、(と言っても、空は黄砂の砂曇り)家族三人発作的に川下りに出かける。
カヌーは大人二人、子供一人が乗り込める大きさである。
笠田の道の駅に車を停め、最寄りの川原をスタート。時間の許す限り下り、上陸後は平行して走っているJRに乗って笠田まで帰り、名湯・蔵の湯で汗を流した後、車に戻って乗り捨てたカヌーを拾って帰る、というプランである。
ほぼプラン通りの旅程であったが、唯一の誤算は、途中でカヌーがひっくり返り、沈没したということぐらい。当然全身水浸しである。
名手の川原に上陸して甲羅干し。
ここはコンクリート護岸ではなく、切り出した大きい岩で護岸をなだらかな石垣のように仕上げている。平べったい石は、午後の日差しにしっかりと暖まっているため、寝転がると天然岩盤浴となる。
岩盤浴の後は蔵の湯へ。そういえばM森君、M崎さん、お元気?就活は終わりました?
帰路の出発時に自宅へ電話すると、野球の練習試合を二試合こなして腹を減らしたひろきが
「う〜、腹減った、おとう、丸高行こうぜ」
ということで、自宅からとんぼ帰りで丸高へ。
さて、筆者とともに丸高に「衝撃ラーメン」を体験されたみなさまへぜひご報告したい事件があった。
ちなみに筆者のファミリーは家族5人で普通のラーメンを4つ頼んで、うち二つは「チャーシュー一枚減らして」、それに早寿司を一つプラスというオーダーであった。
なんせ、ステーキのようなチャーシューが3枚〜4枚。チャーシューと麺の重量比はおそらく6:4と思われる(もちろん、チャーシューの方が多い)常識外れのラーメンである。上記の注文が的を得ているのは、筆者とご一緒されたみなさまにはご理解頂けるものと思う。
その日、カウンターに筆者ファミリーの後に入ってきた二人連れが、何を思ったのか
「チャーシュー麺はないの?」
一瞬、その声を聞いた客の全てが凍りついた。フィリピーナママも心底当惑していた。親父は、こめかみに青筋がぴくぴくと脈打っていた(ような気がする)
フィリピーナママは、自分の口から「うちのチャーシューは大きいから、チャーシュー麺というのは物理的にあり得ない」ということは説明をせず、ただチャーシュー麺はない、ということのみ返事を返していた。
結果、彼らの元には「普通」と「ジャンボ」の二つが運ばれた。今度凍り付くのは二人連れの番であった。衝撃を受けた二人は、一言も語らず、黙々と食べていた。
普通のラーメンとチャーシュー麺のシャーシューの割合は最低でも3倍は必要であろうと思われる。通常2枚のチャーシューが入っているのが普通ラーメンだとしたら、6枚以下であればお客には不満が残るであろう。
しかし、その「チャーシュー麺三倍論」を丸高に当てはめると、その割合は、にぎり寿司における「しゃり」と「ネタ」のような割合になる。もちろんネタが麺で、シャリがチャーシューである。
スープに漬け込んだ肉のかたまりの上に、麺がバーコードのように並んでいるのを「チャーシュー麺」とは言わないだろう。