753話 六つ子の魂 四十六まで 1

メロディーだけは何とか部分的には覚えていて、とっても懐かしく胸に響く感触がある。だけどもタイトルは分からない。もちろん誰が歌っているかも分からない。歌詞もほぼ壊滅的に分からない、というような「思い出に満たない思い出の一曲」というのがある。


何か、とってもいい曲だった(ような気がする)から、とっても聴きたかったのであるが、なんせメロディーの一部のみしか記憶していないのであるから、探しようがない。そういう曲がいくつかあるような気がする(気がするだらけで申し訳ないが)が、


「タララ〜♪ タラララ〜 旅に出よう タラララ〜 タララ〜」


というのが、その一曲である。(ね、分かんないでしょ)


アーチスト名か曲名が分かれば、レンタル屋で探すことも可能であろうが、それらがわからないままにCDのパッケージをいくら眺めても、中に収録されているメロディーは伝わってこない。不便である。だいたい、どのCDを手に取ったらいいかも偶然に頼るしかない。


ところが、25日の読売の夕刊に


五つの赤い風船 結成40周年 記念アルバム 」


 『29日 大阪でコンサート』


なる記事が載っていた。

リーダーは西岡たかしさんで、代表曲は「遠い世界に」


おおおお!


おぼろげだった歌詞に、ジグソーパズルのピースがはまってきた。


「タララ〜♪ タラララ〜 旅に出ようか  タラララ〜 タララ〜」の最初の

「タララ〜♪ タラララ〜」の部分に「遠い世界に」をはめると、記憶の輪郭が明確になってくる。

「遠い世界に♪  旅に出よおぉか 」


うんうん、確かにこんな歌詞だ。


急速に目覚める「芋ずる式連鎖想起記憶」によると、続く歌詞にバンド名と同じ「赤い風船に乗って〜♪」という歌詞が確かあった。


状況証拠は十分である。あとはガサ入れして物証を得ればいい!(って急に刑事ドラマのようになった筆者であった)

読者のどなたも続きに興味はないだろうが、この話はさらに続くのである