756話 六ツ子の魂 四十六まで 4

マントラ説の根拠としてあげたい第一は、その反復性である。


メロディーの中に、そこまでの曲調からいささかおもむきを異にして、高らかに歌い上げたり、たたみかけたりするような、いわゆる「サビの部分」がない。


♪遠い世界に  旅にでようか

 それとも赤い  風船に乗って

 雲の上を    歩いてみようか


「遠い世界に」の中で使われているメロディーラインは、ほぼ上の歌詞の部分で出尽くしている。一番の歌詞は、プラス三行あるが、ほぼ同じメロディーで、ラストのみが変わるだけである。つまり歌詞の部分、各一番は「基本メロディ」二回で構成されている。


そして、恐るべきことに、前奏、間奏もまた、ほぼ基本メロディーのまんまなのである。

前奏(1回)
一番(2回)
二番(2回)
間奏(1回)
三番(2回)


以上の合計8回、【基本メロディー】が繰り返されるだけなのである。ね、マントラでしょ。


そして、その歌詞を見てみると、


♪とおいせかいに(7)  

   たびにでようか(7)

♪それともあかい(7)

   ふう・せん・に・の・お・お・って(7)

♪くものうええを(7)

   あるいて み・よう・か(7)


のごとく、歌詞のどこを見ても、ことごとく7音(または7音階)でまとめられている。


基本メロディは、7音階が6回反復するので、一曲で48回、ひたすら7音を繰り返すのである。


ここまで分析した筆者は、「浄土真宗親鸞上人の【正信偈】」を思い出さざるを得ない。(う〜、突飛だなあ)