776話 ♪よーく考え・・・ない

よーく考えて行動しなさい、なんていうけれども、人の体を調整したり武術を練習したりという場合には、よーく考えると、かえってうまくいかない。


稽古に来られている方の様を見ていると「あっ、考えている、あれじゃうまくいかない」というのは分かる。(ことが多い)


頭を使っていると、首の角度が「大脳新皮質にログオン中」の角度になり「ただいま自意識に接続中です」という緊張表示が出る。


ログオン中の方の、首の角度を調整し、大脳から身体への一方通行の流れを、双方向だろうと思われる方へ誘導すると、いきなり、氣の質が良くなったり、通りやすくなったり、武術的な動きの質が上がったりする。


というあたりに注目して、自分の動きを少しでもまともにしようと心がけている。まれにまともな姿勢ができると、いままでいかに「できていなかった」かが分かる。質の悪さが分かる。


瞑想というジャンルがある。


すこしまともな姿勢ができた時にかいま見た手応えからすれば、今までの自分の瞑想は「睡眠眠気我慢大会」か「妄想」であった。


ヨガを教える際に、ほとんど瞑想に手を出せなかったのは、それはそれで、筆者がまともであったとも言える。とても人様にお教えできるようなものは、何も体得していないのであるから。


じゃあ、アサナはどうだ、と自問すれば、わっ、やはり同じか。「拷問我慢大会」か「こりの確認行」だったかもしれない。


だからといって、今かいま見えているものが「これこそが『それ』だ!」などとはとうてい言えない。


でも、今までよりはだいぶんましで、『それ』に続く道の端っこの方には、たどりついているようには思う。