785話 生物と無生物のあいだ 前編

講談社現代新書福岡伸一

生物と無生物のあいだ

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)



を読む。


これまた、内田樹翁ご推薦の一冊である。


ウイルスだとかDNAだとか一つの細胞の役割だとか、そういう「とっても小さな世界」のお話であるが、まあびっくり。


目から鱗」どころか、全身からウロコが落ちて、皮も落ちて、身も三枚に下ろされて、骨だけ残ったぐらいの一冊であった。


特にびっくりした話。


あなたが食ったお肉(タンパク質)が、あなたの一部(内臓)になった後、体外に排泄されるまで、どれぐらいかかっているかご存じ?


よく【どこそこの「細胞」は○ヶ月もあれば全て入れ替わっているのです、だから○ヶ月もあれば、その器官はまったく別のものといっても良いのです、えへん、おほん】というような文脈でかかれていることがありますでしょ。


こういう古い細胞を捨てて、新しい細胞が生まれてくる作業そのものは「新陳代謝」といって、耳におなじみ。古びた家の床板を張り替えたり、網戸を取り替えたり、電球を変えたり、雨漏りを直したりを繰り返して朽ち果てないようにする「ゆるやかな改装工事」が常に行われているというのが、人体(生物)のイメージであることは、異論はないものと思われる。


「○ヶ月で入れ替わる」というのは、細胞の「寿命」の話。細胞という、ある性質を持った一つの単位。


筆者がびっくりしたというのは、細胞を作っている材料としての「一つのタンパク質(アミノ酸)」の体内滞留時間(期間)である。


ある臓器の細胞を【おにぎり】に例えたとすると、そのおにぎりが集まって、一つの臓器を作っている。その臓器そのものは切り取らない限りはずっとあるが、それを構成しているおにぎりの一つ一つは、数週間から数ヶ月程度(確か骨の細胞は長持ちしたと思うが)○ヶ月で死滅し、排出される。


では、そのおにぎりをおにぎりたらしめている、飯粒の一つ一つはいったいどれくらいの期間、臓器内にとどまっているか、という質問である。


驚くなかれ(いや、ホントは驚いてほしい)なんと○○である。たったの、わずか、○○である。○○○○なのである。


正解は明日