825話 プチ願望実現

8日

結果が何てもすぐに実現するのは面白くないということを書いたが、過程にはいろいろと「うまくいく」ことにつながりそうなことが現れてくる方が楽しい。


『追憶ノ青いバラ』も、残り1ヶ月となって、稽古も佳境を迎えるのであるが、稽古時間と筆者の予定をつきあわせていると、稽古に立ち会える時間がほとんどない。


ところが、水曜日。


毎週確実にある夜の整体にまったく予約が入らない。これは経営上ゆゆしき状態である。ところが一方、どちらかというと空きの出やすい金曜日には夕方の早い時間から遅い時間までぎっしりと予約が入っている。これは経営上好ましき状態である。


金曜日一日で、通常の水金二日分を合わせた人数が確保できている。まるで「さあ、今日水曜日は稽古の方に行ってらっしゃい」といわんばかりである。


神戸サラシャンティから、直接稽古場に行くとすると時間が早すぎる。するとY村のおばあちゃんから夕方早い時間に予約が入った。これもなかなか営業上もスケジュール上も好都合の時間帯である。しかし、稽古に行くのには支障がないのであるが、昼食も抜いているので、できれば食事時間がほしい。


すると、なぜかY村さんは、中華・点心詰め合わせセットをお土産に持参して下さっており、食事時間の問題がなんなくクリア。


Y村さんの調整を終え、肉まんやシュウマイを食べながら「せっかくだから何か差し入れを持っていこう。汗の季節だから甘いものよりも何か塩気の効いたものを持っていきたいけどなあ」と思っていると、予約なしでO合さんがやってくる。しかも、東京に帰ったおりに買ってきてくれた「浅草の老舗 このせんべい一品だけしか取り扱ってません」という頑固一徹、伝統の味、堅焼きの醤油せんべいである。


これで差し入れの問題もクリア。


うまくいくなあ。楽しいなあ。こういうレベルの偶然が続く方が、大成功よりも面白いかもしれない。