889話 口は災いの元 異説

さて、今日の気づきは口である。

人間以前の口はみなさんしっかりと裂けている。四つ足ほ乳類というご先祖さまを見るならば、口は手のかわりに物を持つ部分でもあるのであるから、横にさけて「洗濯ばさみ」のような形状をしていないと、くわえにくいことはなはだしいであろう。


つまり、本来の口というのは、横に大きく裂けているからこそできる運動と連動しているはずである。


人間が口を大きく横に広げた形というのは、結局のところ「笑顔」の形である。ほほえむがごとく口をきりりと横真一文字に引き締めた形でもいい。その口をつくるだけで、首をぐるぐる回したときの可動域は広がり、こわばりは激減し、快適さは増す。


ちなみに、首の動きと腰の動きは密接に連動する。ゆえに口を笑顔にすると腰をぐるぐる回してもスムーズになる。


上記の効果の逆もまた存在する。


不平に口をとがらせても、首は前傾し、腰は丸くなり、可動性を激減させる。がんこ親父が「へ」の字に歪めると腰は抜け、あごは出て胸鎖乳突筋は硬くこわばり、皮肉っぽく片側に歪めると、首も腰も片側にしか回らなくなる。


表情筋と感情の連動は誰しも思い当たるだろうが、それに全身の運動の失調もまた関連していることは、あまり語られていない(と思う。)


したがって、スポーツで顔を歪めて苦痛に耐えて練習していることは、そのまま筋肉と骨格と運動のバランスを崩しているのである。


などと偉そうに書いている君(筆者ね)。その眉間のしわを何とかしなさい。