899話 熱く語る 後編

人口減は良くないというのが、今の日本の論調である。では、今「結婚ブームかつベビーブーム」であったらどうなるのであろう。各家庭に子どもが4人5人が当たり前。右肩上がりに人口が増え、2億人に迫る勢いだとしたらどうなるのであろうか。


いまだって就職難だ。景気が回復してきていささか上向きという程度で、まだまだ失業者がたくさんいる。ホームレスだって激減しているなんて聞いたことはない。


住むところだって困る。


国土は狭く、資源はなく、農業は衰退していて、人口が多く、かつ減少に転じていて、高齢者は多い。若者は少なく、学力・体力・気力は低下している。


なんと、いつの間にか日本は、世界がこの先遭遇するであろう問題点の、最先端のところに行っていたのだ。


最先端にいると考えると何か楽しい。世界の遭遇する問題を、日本が先頭きってばったばったと解決していけばいいのである。


「21世紀に人類は大きな危機を迎える。そして時代の中心は西洋から東洋に移り、そして日本が中心になって、新しい世界を作るという予言なのだ」、なんてスピリチュアル系?の方が教えてくれたが、あまりわくわくしない。


人類が急に精神性に目覚めて、愛と平和に生きるという想像は筆者には浮かびにくい。そういうスピ系の将来の世界には、あまり汗の臭いや泥の香りがしない。


人口減で困るのは税収や年金という政府系のシステムであって、狭い国土で生き残るには人口減は必用である。老人は働けず、医療費や社会福祉費用がかかる存在だから困るという認識になるのであって、老人がことごとく日野原先生のような若者より元気で頭脳明晰で生産性にあふれる存在になれば、問題の景色はずいぶん変わってくる。


そうやって、高齢者がせっせと汗かいて働けば、社会の生産性は低下しない。(そのころは筆者も立派に高齢者なのである)そういう方向へ進めばいいのである。


学力問題も、今は「学歴のための勉強」になってしまっているから低下するのである。人類の生き残りをかけた問題解決期に突入したとしたら、看板としての学歴なんてまったく無駄である。問題解決のために、必用であれば、30代、40代、50代がどんどん短期間でも学び直しにいけるような大学になればいいのである。


残暑と言えないような猛暑に、おもわず熱く語った筆者であった。