948話 明日の日本を頼みます

午前中はH住吉高校の芸能文化科の「演劇」の授業に乱入。夜はホロンの「自然体チューニング」というスケジュール。ちょうど「スルット関西 3デイチケット」で私鉄乗り放題ができるので、午後にはテラルネッサンスに陣中見舞いというスケジュール。


先日のパソコンの故障時に、パソコンを持ち歩かない軽快さを味わってしまったので、今日は読みかけの「坂の上の雲」6巻と7巻と携帯用の尺八のみを荷物に、軽々と移動を楽しむ。


和歌山〜大阪市内〜京都深草大阪市内〜和歌山 という行程は、ハードと言えばハードであるが、今日はあえて電車の中では文庫本を読むにしているので、旅行にでも出かけたようないい気分。


昨日書いた「肩甲骨ずるずる」状態である。そして肩甲骨をずるずると下に下げると、足の裏がにわかに弾力を増し、ポヨヨンぽよよんとした足の裏の気持ちよさに意識を合わせていると、移動中の徒歩コースもまた疲れず、疲れが取れ、心も軽く、身も軽い。


H住吉高校。


上方古典芸能を核とする「芸能文化科」である。筆者は、生徒諸君を前に


「古典芸能を学んでいると言うけれども、日本のそういう文化や古武術など、全て氣の文化である。着物を着て所作を真似ても、氣の部分を学ばずして本質の継承はない」と言って始めようと思ったが、忘れていたので、ここに書く。


最初に色々とデモンストレーションをやってほしいと言われていたので、武術的な動きで崩したり、ころがしたり、関節や筋肉のこわばりを取ってよく動くようにしたりと色々と生徒のみなさんを愉快にいじめる。


「うつぶせを押さえつけさせて、一瞬で抜け出す」の技は、最初男子生徒5名を指名して、押さえている側を吹っ飛ばしたところ、八木さんが何を血迷ったか


「やりたい人は全員行け〜」


とあおるものだから、なんと今度は女子8名が両手両足を押さえつけにかかり、さらに八木さんが


「上にも乗ってしまえ〜」


とあおるものだから、背中にもろに座る人さえ出てきた。


両手両足を全力で押さえている生徒の平均体重が少なく見積もっても50キロ。ここに7名いるから350キロ。ほとんど全体重をかけている容赦ないやつばかりなので、押さえつけている手にかけている重さを半分とみて175キロ。背中にもろに座っている人は体重そのままで50キロ。合わせて推定225キロの荷重がかかっていると言える。


膝関節の裏に全体重を怨念を込めて乗っているやつもいる。上半身も肘や肩などを完璧に押さえ込まれている。


女子高生と密着して嬉しいだろうと邪推する方は、全身の関節にどうぞ推定225キロの荷重をかけて、同じことをおっしゃいなさい。こちらはうつぶせで床板しか見えないのだから、単に柔らかめの重りである。


乗られていても、ちっとも楽しくないので、8人の方々に氣を通した後、固めていた筋肉を一瞬に赤ちゃん化させて吹っ飛ばす。八方に転げる「重し」の方々を見るのは楽しい。


おじさんをなめるなよ。


日本文化をなめるなよ。


その後は「リレーションスポット=氣の中心点」の実習に移って、演劇との接点を徐々に近づけ、最後はセリフを言う生徒の内命をスキャンして、棒読みになっている彼、彼女の内面の身体形を取らせることで、そのセリフがみるみる「ハートに響くものになる」という「演劇そのものの整体的アプローチ」で仕上げる。


この時の生徒のみなさんの反応が良かった。時間がなく2名しかできなかったが、そこまでの「氣の武術的アプローチ」の部分ももちろんパニくりながらも大喜びの大盛り上がりであっったが、この部分ではまさしく「あんな芝居がしたい」「私もできるならやりたい」という無意識下(たぶん)の意欲の乗った刺すようならんらんとした視線が筆者に集中した。


授業終了後も、質問ならびに相談に15人ほどが列になって並ぶという盛況ぶりで、彼彼女らの触発された息吹のようなものを感じて、おじさんはすこぶる楽しかったのである。