977話 尾骨はどこへ行く

meuto2007-12-07

971,972話の「着物を着たときの姿勢」の話を読んで、S川さんからメールが来た。今日も人のふんどしに乗っかってブログを書くことにする。

ブログを読ませていただいて、

『尾骨』に引っかかりました。私が尾骨のヒントを得たのが、カンガルー(添付写真を見てください)とドラゴンボール孫悟空の尻尾の使い方でした。「第三の足、尾骨(尻尾)が立てば浮き身が出来る。」津田先生ならここからもさらに閃きを持たれるのではないかと思いました。

後略

はいはい。さすがS川さん、鋭い。S川さんご指摘なのはこの部分であろう。


さて、昨今の「自然チュー」はあおむけが最も旬である。


あおむけで外ラインを伸ばす際に、自力で「ほんの少し意識的に足首を伸ばす」ようにすると、腰を中心に上下(頭方向と足方向」に「水あめ状の拮抗」が現れる。すると、肋骨はにゅるにゅると盛り上がり、胸骨は上向きに位置を変える。


ここまで来ると肩甲骨は自然に「これ以上ない」ぐらいに寄り、肩関節は後方回転して、鎖骨は伸展し、そこに腕ラインを加えると、時として万歳を経て、後、首の湾曲強調ののち、後頭部骨がつり上がる。かくして


『尾てい骨をピッと立てて、背骨をきゅっと伸ばして、頭が天井に向かっていくように、きゅっと伸ばす。それから肩を後ろへ引いて、肩甲骨と肩甲骨がすり合うぐらいに胸を張って、それをぎゅっと下におろすの』


の通りの体が「自然と導かれるように」現れるのである。


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実はこの引用の鶴見さんの記述の「尾骨」というところに筆者も引っかかっていたのである。というのは、鶴見さんの言う「尾骨をピッと立てる」というのは、一体どの方向に伸ばす(または曲げる、もしくは意識をする)ことを言うのかが不明確であったからである。



一般に「尾骨」が話題になることがない。よく聞くのは「尾てい骨」という表現であるが、この場合「ころんでお尻を打った」場合などに使われていて、ほとんどの場合は「尾骨」ではなくて「座骨」のことを言っている。


だいたい尾骨ってやつは、背骨の最下端で、またぐらに隠れるようにくるっと丸まっている。尾骨の先端というのは、ほとんど「肛門」のお隣であって、意識・知覚していない人が大半である。


鶴見さんの言う「尾骨」が正しく尾骨であるか、はたまた「座骨」を指しているのかというのが不明確なため、筆者が鶴見さん指摘の「尾骨を立てる」に関して、実は素通りして書いたのが前回であったのである。

つづいてが「尾てい骨をピッと立てて」の指す意味である。



尾骨というのは、先ほど述べたように脊柱の最下端である。その方向は下向きのまたぐら向きである。しっぽの骨の退化したもの、ということであるから、しっぽだと考えると、プレイメイトのバニーちゃんのように、後に突き出すということが考えられる。


あるいは反転して頭の方を向くという、いわゆる「しっぽを逆立てる」ということが順当である。


しかしながら、現在の尾骨の長さおよび可動域では逆立てるのは不可能である。であるならば「巻いているしっぽ」を下方に伸ばすこと(伸びる意識を持つこと)が唯一可能である。しかし、下向きの伸張のことを「ピッと立てる」という表現になるのだろうか、というところに不満が残る。立つというのは基本的に「上向きの行為」を指すと思われるからである。


S川さんから提供してもらった「カンガルー」の写真を拝見すると、カンガルーは「尾骨で立って」両足キックしているのである。


いずれにしても、鶴見さんのいう「尾てい骨をピッと立てて」の真意は不明であるが、このカンガルー写真を見ると、下方向に伸ばすというあたりに、やはり鶴見さんの真意はありそうである。



ちなみに、自然体チューニングで


『あおむけで外ラインを伸ばす際に、自力で「ほんの少し意識的に足首を伸ばす」ようにすると、腰を中心に上下(頭方向と足方向」に「水あめ状の拮抗」が現れる。』をする際に、尾骨から足先方向への伸張させる意識を持つと、水あめ化はより鮮明になったことをご報告申し上げる。