1006話 燃えよ!ドラゴン 桜

実は昨年末から「親父ドラゴン桜」をやっている。


数日前に書いた「受験前の長男」問題である。(問題だっけ?)


前々回の模試ではけっこうそこそこの合格可能性のある成績を取っていた長男であるが、ここでも親父のDNAを正確に受け継いだ長男は、「好成績」の後、きっちりと油断し、状況をなめ、だらけ、さぼり、前回の模試では実に悲惨な成績を取ったのである。


息子がどこの学校に行こうが勝手だし、いわゆる「いい学校」だからといってその後が約束されているとも思っていないけれども、志望校の公立校に落ちて私学に行く、とかいうことになると経済的にも時間的にも公立高校よりもこちらの負担が大きい。


前記したように、まったく「受験勉強」をしていなかった親父であるが、40数年も生きていると、「中学生には見えないけれども、親父には見えること」というものもあるように感じるのである。


「勉強しろ!」と口やかましく言うぐらい無駄なことはない。お互いの気分も悪いし、こちらもそれをきっかけに何かの能力が向上したり、物事の仕組みを理解したり、という余録もない。「勉強しろ!」と叱責されてそれで俄然やる気になっていい成績を取ったというような人間はいまだかつて見たことがない。


一つ一つの勉強は、学校の先生や塾の先生が教えてくれるし、餅は餅屋なのであるから、それは筆者がやることはない。(やろうと思ったってできない)


そこで筆者は勉強以前の問題を考え、しばらく長男を観察した。


結果として、教科に分類される以前の問題で、「勉強するための脳」もしくは「身体能力」のチューニングおよびトレーニング方法を提案し、10日で述べ5時間ぐらいつきあった。


それをもって年明けの模試を目指すことになった。


その「秘密のトレーニング」の数日の試行の結果、もともと得意の理科社会は若干のアップ、英語と国語はなかなかのアップが見込めると思っていた。


模試の二日前に、長男は「惨敗した模試」の問題を再度「すこし制限時間を短くして」試みた。


得意でない国語は10点アップし、苦手の英語は、なんと20点アップした。


一度やった問題だから上がって当たり前のようでもあるが、得意の理科がややアップにとどまり、同じく得意の社会がダウンしたことを考えれば、この国語と英語のアップ率の信頼性はそう低くないと言ってもいいだろう。


とりあえず、ここまでは成功のようである。


スポーツで言えば「プレイ」の部分にばかり注目がいき、それ以前の身体の自然さとか、力みのなさとか、無意識に動く動きの質だとかが省みられていないところから、せっせと自然体チューニングをやっている筆者である。


今回の試みは、言うならば頭脳の「自然体チューニング」になるかもしれない。


今一つの苦手科目である数学は、まだ「秘策」が思いついておらず、苦手なままであった。そこで急遽一泊二日で一つ考えて提案したが、これは時間がなさ過ぎるので間に合わないかも知れない。


「秘密のトレーニング」は、秘密にするから「秘密のトレーニング」なのである。「秘策」は、公開しないから「秘策」なのである。よって、ここには公開しない。が、結果が出れば、うれしくなって公開するかもしれない。


でも今のところは「秘密のトレーニング」のままの方が「神通力」がありそうなので、秘密のままにするのである。


膨大な時間と労力を使う受験勉強である。これを合格のためだけに使うなんて、実にもったいない。試験というのには、必ず「正解」がある。人の作った問題を解くというのは、あまり面白いとは思わない。


今は、問題は自分で作って自分で解くから面白い。正解が一つではないところも面白い。努力が必ず実を結ぶとは限らないところも面白い。


一つの問題が10年がかりで分かってきたりするのも面白い。そういう行為を通じて、自分の能力が伸びているのが実感できたりすると、結果が出ていなくても、それだけでやりがいを強烈に感じたりする。


願わくば、ひろが、受験勉強というせっかく避けられないものがあるのだから、それを通じて「能力を伸ばすこともおもしろさ」(点数が上がったから面白いではない)を獲得できればいいなと、そんなことを考えている。