1055話 Y田くんのやばいサーブ

テニスコーチのY田君が「やばいことになっている」


上下型1種のY田君は、I 藤せんせのテニス部の教え子であるが、河野先生のクラスを2度ほど受講された同じくテニスコーチのKさんにも一時師事していた。が、筆者のことを知ったのは、お気に入りのお店の関係で知ったN貴さんのブログからであった。


ご縁のある方というのは、ご縁も多角的にあるもののようである。


Y田くんは1月13日の自然体チューニングに参加。最近ではすでにお蔵入りしそうな技術である「ラケットを腕の一部にしてしまう輪郭なぞり」をお土産に持ち帰った。


ら、


サーブの球速が推定10キロは速くなってしまったという。


続いて27日にきて「体癖ごとで輪郭なぞりのアプローチは違うぞ方式」を学んだ。


その後はせっせと週に二度は時間を作って通っている。


1月30日に、基本的な考えを「左右分割方式」に前面改宗したため、その後は怒濤の勢いで技術革新が続いたのであるが、来るたびに言うことの変わる筆者に根気よくおつきあい頂き、すぐにコートで実践している。


やる前に頭を整理しようとする上下型の質問は拒否する筆者であるが、やった上、やりながらの質問には温かい筆者である。


といっても、テニス素人の筆者が彼に言うのは


「常識になっているこのフォームですねんけど、このままやったら筋肉やら筋やらが痛いと嫌がるんですが、こうやると身体が受け入れてくれるんだけどどう?」


というようなものである。


「やばいことになっています」というのは、彼からI 藤先生のところに彼から送られたメールである。


コーチする際に、軽く球だしするつもりがびゅんびゅんと行きすぎる。


初回の講習の後にすぐに推定10キロのスピードアップしたサーブであるが、その後の「忍者テニス」(注 身体が受け入れる動きを伝えたら、一番近いイメージは忍者が剣術をしているような動きになった)の習得により、バウンド後の球が異様に伸びるんだそうだ。


ついには、コーチ仲間のラケットを吹っ飛ばしたという。


オフェンスが上達したようであるので、当然筆者の関心はディフェンスへと向かう。


球技がからっきしだめな筆者が、曲がりなりにもネットまで打ち返せるようになったバッティングにヒントがあった。


それらの技術のヒントは、実は日常の何気ない行為の中に隠されている。


今回の「高速でこちらに打ち出されてくる球を確実にとらえる」ために、どうするか?



小山ゆうの「がんばれ元気」のように、電車の走る線路脇の線路に登って、車中の人を識別する、というような「いかにもそれらしい」トレーニングを励行するわけではない。(結果的にそうなるかもしれないけど)


ヒントは、人混みの中で、すれ違う直前に「おお、見目麗しく、とっても好み!」という異性に筆者の身体が反応してしまった際に、とっさに生じる反応にある。


解答は後日のお楽しみ。


さて、進境著しいY田君であるが、誰でもそれくらいの上達は保証しまっせ、という訳にはいかない。


彼自身、Kさんのもとで、力みを取ってゆるめることをしっかり学んだ土台があった。



その上で「力みやパワー」への違和感と、それらに頼るプレーでないものを求める気持ちが十分に醸成されていた。


今は、さしあたってのトーナメント出場を考えておらず、「目先の結果よりも確かな上達」という構えでいたこと。


彼の準備が十分であったからこその結果である。


彼の目標は「死ぬ直前のプレーが生涯最高のプレーであること」


だそうである。こういう若い人の声は、こちらの意欲に拍車をかけてくれる。ありがたい。


火曜日に出席予定の彼が、この日月でレシーブ技術がいかに変化したかによっては、二三日後に掲載予定の解答の公開がさらに後日になるかもしれない。


それもまた楽しみなのであった。