1084話 みらくるグリップ 前編


ラクルグリップが旬である。


ひろきとバッティングセンターへ行き、「歩みチューニング」とともにやや丁寧に「グリップ」も伝えなおした。


雑なうちにはことごとくぼてぼての押された当たりしか飛ばなかったひろきであった。


丁寧に伝えなおしたところ、打率は8割に達した。うち6割がネットまで飛ぶ会心の当たりであった。


おそらくは彼の野球人生の中で、もっとも楽しい「打撃練習」時間であったろう。


おなじみのY田君であるが、最新の彼からのレポートによると


『歩き方が少しましになったのと、ミラクルグリップのおかけでどれだけ打っても体がかたくならない状態になってきました。気持ち良くてずっと腕を触っちゃいます。
その分体の変化についていくのが大変で、昼に打ってたサーブが夕方には同じ打ち方では打てなくて、より体にとって楽な方へもっていかないとうまく打てない状態です。』


という超高速上達サイクルに突入したらしい。


同僚のK山支配人からも、同様に「手ごたえと決意のメール」が来るが、A崎S子嬢やY田君によると「彼のメール史上 信じられない長文だ」とのことである。Y田くんの「世迷いごとだろう」と当道場のことを信用せず、なかなかに道場に足を向けなかった彼であるが、今や朝な夕なに神戸より東の淀川区の道場に向かって遙拝するらしい(うそ)。


メールを打つ行為さえ「ミラクルグリップで統一体で打っている」(ホント)そうである。