1101話 意識が身体を動かすという錯覚 2

 S川さんから連絡があった。

「速動はすでに実験ずみでっせ」


とのことである。


なんでも「下り坂を使って全力で走る!」というような方法らしい。


なるほど。


訓練勉強トレーニングなどのこれからの傾向というものが見えてきた。


易〜難へ。低速から高速へ。真似から無意識へ。低負荷から高負荷へ。勉強でもスポーツでもこういう方式がメインである。


その方が能力を上げるという無意識な前提がある。


しかし「意識が身体を動かすという錯覚」で証明されたとおり、この方法は「意識で自己の運動を制御できる」という前提に立っているので、意図した成果にはつながらない。つながらないけれども、そう思いこんでいるので他の方法にはいかない。または「そんなばかな」で片づけられる。


しかし、たとえばS川氏の「速動」では、絶対に意識では制御できない「坂道全力高速下り」の後、やはり速読(脳による認識処理速度)もアップしたという。


難〜易へ 高速から低速へ、または超低速による身体状況観察(認識できる情報の質と量をアップさせる)、高負荷から低負荷、意識的な制御をやめ、無意識にまかせる、身体にまかせて意識はそれを観察認識するのに徹する、というあたりがよかろうと思っている。