1118話 スポーツメーカーのスペシャリストがつくった靴は
某スポーツメーカーの「25万足が売れた!」というウォーキングシューズを通販で購入。4Eがあったので購入したのであるが、履いてみてすこぶる「調子が悪い。」
バッティングセンターに行く際に履いていったのであるが、打つ前から「この靴はダメ」と筆者の身体は完全にダメだしをしていたのであった。
履いた瞬間は、しっかりと足を包む感じやら、腰のある弾力のクッション性などが感じられるので、購入された25万人の方から非難ごうごう返品苦情雨あられということはないであろう。
軽くていいな、というような感想は皆さん持たれているだろうと思われる。
しかし、首肩背中腰の余分なこわばりが、正しく歩くことにやってめきめきと剥がれ落ちてとっても快適だわ感覚を実感してしまうと、そのウォーキングシューズ自慢の履き心地の甘さは、決して「軽快・爽快な歩行」にはつながらない。
バッティングの際には、インソールを抜いてみた。ら、ぐっとましになった。某スポーツメーカーが技術の粋を集め、叡智を結集したはずの目玉であるインソールは、何の役にも立っていないのである。
抜いたインソールを床の上で踏んでみた。そして、首肩腕腰の「動作の軽快さと閊え」を調べてみた。
すると、インソールをつけるとそれらの動作はことごとく力みが出て、閊えが生まれ、ギクシャクとしてうまく動かなくなるということがわかる。
道場にこられるかたがたにも踏んでもらうと、やはりことごとく「動作時の滑らかさ」は消えてしまう。はだしでただ立つとくにゅくにゅに緩むレベルまできている方々が、高機能インソールの上に立つと元の木阿弥になってしまっているのである。
かばう、代行するという機能は、本人の機能を退化させる。必要なのは、動かし方の誤解を補正して正しい動きに戻ってもらうような働きかけや、適度な刺激に触発されて本来の機能が回復する、というような働きかけである。
おそらく、日本でも有数のスポーツメーカー。開発段階であらゆるテストを行ったであろう。
あまりに細かくテストしすぎたのではないか。
ゆえに、その靴を履いて、首肩腕腰をぐるぐる回すという何の変哲もない「全身の連動性を問う」という基本的なものを見逃してしまったのだろう。
いまさら、軌道修正できないだろうなあ。あんなに売れちゃ。