1151話 幸せになりたくないのかな
自意識の悪口を連日書いている筆者である。しかし、一方では自意識じゃなきゃできないお仕事もある、ということが判明した。
セカンドセルフでたとえば「歩行練習」をする。
では、その歩みの稽古は何のためにやるかというと、なんらかの悪しき身体条件をクリアするためである。
N川さん@ヨガの先生は「上体をリラックスさせたいのです」とおっしゃる。
そこで「では、上体をリラックスさせる」と言ってから「セカンドセルフウォーキング」をしてもらうが、かえってぎこちない歩みになっている。無条件で歩いた方がよほどいい。
「上体をリラックスさせるとおっしゃいますが、ほんとうは何が気になっているのですか?」
と聞くと
「首が右に回らないので、これを何とかしたいのです」
そこで
「首が右に回るようになる」
と断言してからセカンドセルフウォーキング(以下SSWと省略)すると
「ひえっ、最近ここまでよく首が回ったことはありません!」
O渕さんは
「背骨の動きをよくしたい」
とのことだが、実行してもあまり変化はない。
ホントはどうなってほしいのか、と問うと、頭部にある締め付け感を何とかしたいというのである。
素直に身体にそれを告げてからセカンドセルフウォーキングをすると
「あれっ、目の奥が楽になっている」
そうなのである。身体の内部ではご本人の抱えている問題を解決する能力が無尽蔵に詰まっているようなのである。
にもかかわらず、ご本人(自意識)は、まったくそこにアクセスしようとしていない。
N川さんはおそらく常日頃、首の回らない違和感がつきまとい、なんとかしたいというのは常にテーマとして持っている。にもかかわらず実際の身体のトレーニングの際にはそれを身体にお願いとして伝えない。
「上体をリラックスさせる」も「背骨の動きをよくしたい」というのも、他に差し迫った問題がないか、それらはクリアした人が言いそうな中身である。
違うやん。
自意識の使い方が間違っているのである。
「首が回りまへんねん」「頭が締め付けられますねん」と素直に認めればいいのに、何か「きれい事」を言っているのである。(もちろん、筆者も似たようなものである)
そのくせ、実際の細かい動きの際には、足を引っ張るようなことばかりしているのである。
つまり、自意識には「今解決したいテーマは明確に」身体に伝えてもらい、実際の動きの際には黙ってもらうのである。すると驚くばかりに様変わりして結果が出る。
しかし、ほとんどの場合は自分が何を解決したいのかは漠然としてまま、実際に動き出したら細かく注文をつけている。
何をしたいのかが明確な人には助力のしようはある。
何をしたいのかが分かっていない人には応援のしようがない。
自分が何に困っているのか、を明確にして助力を乞う。そこで得られる応援には素直に従う。
この逆をしている人。自分がほんとうは何に困っているかは言わずに、アドバイスを受けたり実際に仕事を振ったもらったりしたらごちゃごちゃと言い訳をしたり文句を言ったりする人が救われないのは当たり前である。
上達したり問題をクリアしようとしたら、自分の中でもその逆をやればいい。