1163話 はじめは客観視だった

 
 昨日のホロンでは、参加者が男性ばかりだったので、さっそく弾力のあるヨガマットを丸めて丸太状にしたものに腕を突っ込んで、殴りかかってもらい、自分の反射を見たり、実際にあらかじめ危険がないことを確かめた強さで殴ってもらったりした。


なかなかに興味深い結果が出た。


しかしながら、今日外を歩いている時、右後方ほんの1.5メートルぐらいのところから、「行ったれ!」という過激なだみ声が唐突に聞こえてきた時は、ちょうど考え事をしていて、びっくりして体が固まった。


声の主は、どうやらイヤホンマイクで携帯で通話していたらしく、そのだみ声大声突然状態になったらしい。


これがセカンドセルフ起動状態であったらどうか、というのは解らない。


やはり「びびった」かもしれないし、あまりに平気で、通常であったらびっくりして体が固まるような状況であったということに気がつかないかもしれない。


何にしても「うん、だいぶんに出来てきた」


なんて思ったら、それはもう自意識ワールド一直線である。


昨日のいい感じをもう一度、と思ったら昨日の「それ」は顔を出さない。


おっちゃんのだみ声に、びびりたおした筆者であったが、それをもって「セカンドセルフ」は没、にしない。今のところ、これほど自意識の休眠低下状態と出会える方法を知らない。当分は追跡調査することになるだろう。


ノートをめくってみたら、セカンドセルフ登場時は「客観視トレーニング」と書いている。


自分の行動を自意識の立場から観察する、というものだった。


一月たたない間にずいぶんと様変わりしている。