1168話 客観的にデータをとる
「感情をはさまず現実を見る」、ということの効果に目覚めた筆者である。
「何々を成し遂げるぞ」と決心するのは自意識である。しかし、筆者が今深く理解しているのは、自意識はあまり応援してくれない、ということだ。どちらかと言うとストレスを振りまき、プレッシャーを作り、勝ち誇ったかと思ったら盛大に落ち込む。
自意識による一喜一憂をはさまず、現状をデータ化して表層に浮かび上がらせることを淡々と続ける。
さすれば、無意識および身体は望ましい方向へと徐々に修正していくのである。
筆者はたばこを吸う。
一日に一箱強は吸っている。
今のところ、何が何でも止めたいという意志はない。
が、吸いすぎると感じる時はある。その分を減らしたい思いはある。
現実を知ろう。
たばこのフィルターの吸い口のところに、一本ずつ番号を書いてみた。今吸っているのが今日の何本目か、ということが明確になるようにしたのである。
別に「何が何でもたばこを減らすぞ!」などと決心したわけではない。
書いたその日から、確実に本数が減っている。我慢などはしていない。一日一箱と書いたが、実際にはそれを上回る日が多かったということが分かった。
一本一本がすこぶる美味しい。
ネギを刻む時、刻みそこねたネギが連なって「のれん」のようになることがある。
ああなると悔しい。
そこで、「包丁の刃が何センチまな板の上を滑っているか」。つまり「刃を何センチ使ってネギを刻もうとしているかのデータを取ろうとした。
「刃を長く使おう」と意識した時には改善されなかった「のれんネギ」が、データを取ろうという意識になったとたんに一本もつながらなくなった。
これも楽しい。
おじやにたっぷりと振りかけて食う。