1184話 裏マトリックス

昨日のメールのKちゃんであるが、一方ではちゃんとこういう境地も味わっておられるのであるから、あまり悲観することもないと思うのである。



こんにちは。先週の講座を受けてから、水彩絵の具でイラストを描いてみました。


この部分が長いと見栄えがよくてかっこいいやろうな、とかここはにじませたい、とか普段思っていることは横に置いて、セカンドセルフに今回表現したいものを伝えました「太陽の光、それも双葉に優しく降り注ぐような太陽が描きたい!」と。


それから画用紙に向かい、筆の先に集中しました。


どこで力が入って、どこで力が抜けているか、をみてみることにしました。


何度も描いているうちに、わたしがずっと出したかった「にじみ」だったり「形」だったり「色」になっていました。そして、
長い時間をかけていたと思っていたのに、そんなに時間は経っていなかったことにもびっくりしました。


それからいくつか違うものを描きました。やっぱり描きたかった色と形とにじみになっていきました。


それから訳もわからずなんだか泣けてきて、泣きながら描いていました。


いつもイラストを見てもらっている友達に見せたら、「きれい」との反応が返ってきました。それまで「かわいい」としか言われたことがなかったのに。


速読にセカンドセルフ…すごすぎます…。また次回の講座を楽しみにしています!



だそうである。さらには、デザイナーのNさんからはこんな感想が・・



先生こんばんは。5日のヨガ予約します。


ピアノで、前はどうしてもできなかったことがセカンドセルフでは勝手にできてしまうので、自分で弾いててビックリするんですけど、ただ、こう弾けたらいいなーというイメージがある曲で、しかも弾く時にはそのイメージを一旦忘れるというか、どっかに置いておくみたいな感じだとうまくいくような…。不思議です…。


これを読んで思い出すのは長男のひろきである。


中三ぐらいから俄然歌に目覚めたらしく、せっせと録音してはせっせと聴いている。これだけならいいがせっせと歌うのである。それもうっとりと聞き惚れるか脳髄がしびれるような美声であればいいが、はっきりいってうまくない。何を歌っているのかわからない。


そこで彼の歌声を研究した。


結果、わかったことは、彼は自分の歌を聴いていないのである。


口から出ている声は聴かずに、頭の中で自意識がならしている音を聞いているのである。


ゆえに、長くのばす部分が途中でとぎれようと、高音部の声が出ていなかろうと、彼の頭の中では音声はとぎれず続いているので、修正の必要性を感じないのである。


ゆえに平気ではずれて歌えるのであった。


それが証拠に、彼にちゃんと自分の声を聴きながら歌うように誘導したら、ちゃんと少しずつましになっていったのである。



Nさんの言う「自分のイメージを脇へどける」というのもKちゃんの言う「普段思っていることは脇へ置いて」「筆の先に集中しました」というのも「自分勝手な思いこみ」を見ない聴かないということであろう。


バーチャルリアリティとか仮想現実とか言って、そういうのはコンピューターやゲームの中の世界のように思われているが、筆者の最近の「実感」は、ふつうに生きているみなみなさまのほとんどが、現実をありのままに見ず、見たいように曲解して見て、聴いて、感じているのである。


だから、まともに近く見て、聴いて、感じたとたんに今までできなかったことがいきなりハイレベルで出現するのである。


映画のマトリックスでは、仮想現実の中に入ったらいきなりネオは超人になったが、あれは実は逆だったのである。


現実をありのままに感じたら、誰もがいきなり超人(自意識で勝手に作っていた壁を超える人)になるのである。