1293話 拡大してみる
いわゆる指圧式に親指の指紋で、肩などを押さえる。
もちろん、相手の肩の押さえてほしいという欲求の感じられるところである。
指や腕の力みを取り、柔らかく接し、気の通りがいいように、角度や方向、皮膚のずらし方などいろいろと押さえ方を工夫する。
どこでかというと、2.5センチ×2センチぐらいの指紋の部分である。
この方法ではある一定以上はやりようがなくなる。
そこで指紋の中に2.5ミリ×2ミリぐらいの「もっとも押さえたがっている一点」を選び出し、それで相手の押さえてほしがっている面の中の「もっとも押さえてほしがっているミリ単位の一点」を探す。
そう意識を変えたとたんに、相手への浸透度が変わってくる。
さらに0.25ミリ×0.2ミリの「それ」を探す意識へと深めていく。
ずずずずずぼっと指が入り、深く気が浸透するようになる。
蚊になればいいのである。
蚊だってくちばし?を刺すときに、おいしそうなやわらかそうなところを選んでいるはずだ。ということはそういう1ミリの何十分の1かのそういう一点がある、ということだ。
蚊にできるんだから人にもできたっていい。
自分の尺度にはないからといって、はなからないものにしてはいけない。自分の尺度を変えればどんどん見える景色が変わってくる。
可能性が広がる。
今の自分をよしとしなければ、手はある。きっと。