1316話
何かする時、そのままやり始めたとき、われわれ凡人の体や構えは、とんでもなく狂っている、ということを知らなかった。
個別に修正しても、なかなか整うものではない。
「ばらけ」を「一 (いち ひとつ)」にしてから、ぱっと持ち場に分けると、一瞬で本来に戻るようだ。
そして、日常の所作の中に、実はその【「ばらけ」を「一 (いち ひとつ)」にする】機会が多々含まれている。
知らずに「型」として身についている人には、その力は及ぶ。
しかし、意味を知って「型に習う」のと、なんとなく「その型をやる」というのとでは、ずいぶんと違う。
自意識は、身体への命令として使うとこわばるだけだが、「ねらいを絞る」「何を感じ取るのかを明確にする」ために使うとこんなにも恩恵をもたらす。