1396話 山盛りの失敗や間違え

昨日書いた「小指グリップ」の件。


Y田くんが稽古に来たので「これこれこうだったんだわ」と詳細を話す。


話した後で「で、君はどうなの?」


と実際どうやっているか、きちんとやるとどうなるのかを検証してみたら、ははは、Y田君も「やっているつもりで」できていなかった。


ラケットを振りながら、愕然としているのであった。



しかし、こうじゃなくっちゃいけないのである。


間違いに気づくというのは、必須なのである。



夜に見たNHKの「プロフェッショナル」


取り上げられている湯浅さんという方は、森林再生のプロ。


日本の国土の大半を占める植林された森林の8割が、実は瀕死の状態らしい。


湯浅さんは一度都会に出て就職をして、しかし、30台なかばでUターンして林業へ。


担当する1万ヘクタールにもおよぶ「ふるさとの森」の大半を、「低コストで再生」することに成功して、いまや全国から教えを請う関係者が訪れる。


わが和歌山県日高郡の森にも、SOSを受けて現地を見てアドバイスに来てくださっている。県民として感謝。


林業のコストの中で「作業道」の占める割合が大きい。


道をつける費用はもちろんかかるが、実際には、数年で崩れたり埋まったりして、それを補修する費用が馬鹿にならない。


湯浅さんは、特にこの「長持ちする道」を、山をみて、伏流する水脈を推理し、大雨の時の水の流れを想定し、設計していく。



とにかく「きっぱり」している。まったく明快である。偉そうではないのに、毅然としている。


湯浅さんは


「山のように失敗した」


と言われる。失敗しないとできるようにならない、と言われる。


やった人にだけに言えるすばらしい響きだ。


たまたま成功した人には、決して出せない響きだ。


迷路の中で、ゴールへと行けない道はことごとく塗りつぶしてあるんだ。


間違いやすい分岐点は、山盛りで体験済みなのだ。



だから、言葉がきっぱりしている。自分に言い聞かせる虚勢は必要ないのだ。


今日も番組途中から正座で観た。


未知にチャレンジするから、失敗や間違いが起こる。


今までのことを繰り返すだけなら、失敗や間違いは起こせないのだ。