1533話 大リーグボール養成ギブスの誤解

Y田くんが「ジュニアの生徒たちが、ことごとく上達した方法」というのを教えてくれた。


一言でいうと「腕に棒で添え木をする」という方法。S川顧問のアドバイスから、それをテニス現場でやってみたら、予想を上回る効果があったという。


筆者もやってもらった。


腕が、機動戦士ガンダム状態になる。


びっくりした。


自分がふだんしている腕の動作が、どれだけ勘違いしているかが明確になった。


人が動作するというのは、動作の目的にあった形に骨格が動いていくことである。


そのためには、曲がる機能を持つ関節で、角度を変えていくしかない。


骨の部分に添え木があって、関節だけが開いている状態で腕を動かすと、当然関節の部分で腕が動く。そしたら、ふだんの動きと全然違う。くるくると軽快に実によく動く。


ということは、ふだんは鈍重にしか動いていないということだった。


鈍重なのは、よぶんな力みをしっかりとそこにかぶせているからで、その「筋肉の存在感」のようなものは、実際の動きにはほとんど必要なかったということがはっきりと浮き出てきた。


その「力み」がないと、結果(関節の曲がり)は、でないと勝手に思いこんでいただけだった。


こういう回路で動いているということは、仕事で結果を出そうという時にも、やっている最中の「手応え」のようなものをガイドラインにして動いてしまっているということか。


ということは、結果が出ない時には、ますます「結果とは関係のない力み」を強調していくことになる。


がんばってもがんばっても結果が改善されない、ということは十分に起こりうる。


その状態というのは、星飛雄馬の「大リーグボール養成ギブス」状態だ。


あらゆる動作が「力み」無しでは動けない。


「少しできてきた」と思っている質の動きも、これでいいと思っている仕事のやり方も、一から見直す必要が出てきた。