ぬけがら

劇団未来さんは、毎年夏の「演劇塾」に講師として筆者を招いてくださるまことに奇特な劇団である。


「もっと登場人物の気持ちを汲み取って演技しようよ」とか「表情にめりはりをつけようよ」というような講習は一切せず(だってそれは筆者の専門じゃないんだもの)「はちみつに全身浸かって動け」とか「足にゴム手袋を履いてくらげの体操から」とか「分身をつくってまねをしろ」とか「およそ彼らの演劇人生の中で、一度も指示されたことのないことばかり」を強制されつつ、性懲りもなく3年も筆者を招き続けているすばらしいみなさんである。


その「演劇塾の主催責任者」である牧達郎さんが演出で、劇団員で演劇塾参加の前田都貴子さん、島芳道さんの他にも、今年の演劇塾から荒井美紀さん、なぎひろしさん(三宅さん)、昨年の演劇塾参加の川西聡雄さんなどがキャスティングされており、さらにはH住吉高校の授業で筆者が当時凝っていた「指紋・掌紋を数えるトレーニング」を披露したところ、それを半年こつこつとやり続けたという松永君も、公演一ヶ月前に、急遽代役として出演するという。


で、今回の公演「ぬけがら」に行ってきました。


過去見た未来さんの作品の中では、一番よかった。


いい悪いの評価は簡単です。人に勧められるかどうかです。これなら十分人に「面白いから行ってみたら」と言えるレベルでした。


選んだ作品がよく、その持ち味を損なわないで生かす演出もあり、舞台装置の「前後逆転方式、キッチンそのまあ使っちゃいました」も当たり、キャスティングもうまくはまった。


そういう「かみ合わせ」が、今回は今までになくよかったと感じる。総合的によかった、と感じる。


角度を変えて考えれば、私がかかわらせてもらった役者の演技の部分以外で、多くのプラス要素があっていい作品に仕上がったとも言える。


ということで、今日明日もまだ公演中。ただし、予約は一杯みたいですけど、一度未来さんに問い合わせてみてください。



終って、S本さんと焼き鳥屋に行ったら、牧さん、川西さん、肉戸さんに、島さん、近江さんらと偶然合流。


本番後の会話の中身が、以前とはずいぶんと中身が変わってきている。


私自身も八木さんが常々口にする「総合性」について理解が進むところがあった。つまり「分かっていなかったことが分かった」。


来年の演劇塾も呼んでもらえたら「総合力が引き出せる可能性を高める」という視点で、内容を練り直して勝負したいと思います。