アルコールの結界を張る

ネクストの稽古会。


6時間みっちり。自分が何をやっているのかを明確にする、という稽古を中心にいろいろ。


その中で「自分のテリトリーとして意識している空間の把握」をする。


人と向かい合いで稽古するので「相手との境界面を感じ取る」という稽古になる。


で、参加者それぞれが感じ取ったのであるけれど、自分が何をどういう手順で行った結果、それを感じ取ったかということになると、実にあいまいである。すると、次回やろうとしたらできなくなったり、同じようにやっているつもりで段々と違うものを「それ」とすり替えてしまったり。


と、いろいろな稽古をしてから、近くの「はるはる」に席を移して懇親会。


で、その酒席でそれぞれの「個人テリトリー」を観察。また「体癖による飲み方」などを観察。


すると、N川さんは、目の前のとっくり、おちょこ、焼酎湯割のグラス、ビールのジョッキなどは、「胃袋の出張所として、自分の身体の一部として感じながら飲んでいる」ということが判明。


二人組稽古で「自他の境目」は「いや〜、も一つ分からないのですが」といっていたN川さんである。


境界面を犯された(手を伸ばして、その間合いより中に突っ込もうとする)瞬間に、自分の手を伸ばして制する、という遊びをしていた時の話。


まわりの人が、N川さんの個人テリトリーへの侵入をしようした時、今一つぴしりと動作が決まらない。


ところが、彼の前にあるお酒のに入ったグラスに手を伸ばした時には、まさに達人の動作、無駄のまったくない無意識な力みのない動作で、侵入者をさえぎる。それはまさに境界面に触れんとした瞬間に、勝手にカラダが反応しての動きなのである。


お酒の入ったグラスは、まさに身体の一部、またはそれ以上に身体意識が濃いのである。


まさに結界をはったかのように、悪霊の侵入を許さないのである。


ところが、グラスにお酒がなくなったとたんに、境界面とは関係なく、相手の伸ばしてきた手を目でみて、おたおたと止めようとする。ただの不器用なおじさんに戻る。お酒が入っているグラスに戻すと達人に戻る。お酒がないと、不器用なおじさんに戻る


一同大爆笑。


でも、大変勉強になりました。