自然体チューニング 講義録 7

 人間はふだんおなか側同士を向け合って生活しています。いつも見ていますからそちら側が「表」という気になりますが、進化のご先祖様の姿を思い出せば、このお腹側の方が表になったのは、進化史上でいえば、「ついこのあいだ」なんですよ。


脊椎動物が誕生して7億年経ちますね。脊椎ができたというのは魚の時代ですね。魚からこっちで7億年です。魚時代は横顔?横腹?が表です。


陸に上がったら背中側が表になりました。ですから、裏だったおなか側が表になったのはほんと最近です。


今何のお話しているかというと、人間は五感をフルに使っていない。さまざまな感覚器を持ちながら、目に頼りきってるんちゃうかというところにいきまして、表と裏を勘違いしてるんちゃうかと述べております。


四つん這いになったら背中側からの皮膚感覚から、音、におい、目、総合して使う身体になっているわけです。


今度は、音、聴覚と身体との関係やってみましょうか。はい立ってください。


例えばラジオ体操ってなかなか面白い体操だなって思うんですけど、ラジオ体操を私がどういうシチュエーションでやってたかっていうと、私が覚えているのは、子供のころのプール。市民プールに行くと、3時間で入れ替え制で、1時間半ぐらいのところで全員上がらされてプールサイドでラジオ体操をした。


印象としてはそれが強いんですけど、そうすると指導員みたいな人がやっているのを「見て真似をする」という、体操をやる時にも視覚優先なんですよね。


太極拳とか気功とかヨガとかダンスとかを習いにいっても、先生の動きを一生懸命見てまねをするというサイクルにいつのまにかどっぷりはまっているので疑問がないのですね。

身体の横曲げをやってみますね。まねをしてください。見本の「体操のお兄さん」を見るようにして。


今やっているのはゆっくりですが、これを速くやればラジオ体操です。どのあたりまで無理なく曲がるかを、覚えておいてください。


こういう「見本を見て真似る」というのが、一般的に体操教室に初めて行ったときの初心者の方の動きですね。


そうすれば横曲げの柔軟性がどれくらいか、というのがわかりますね。
さきほどやった「鼻と身体運動特性」でいうと、嗅覚を使った運動は、「ねじる」という動作と相性が良かったのですが、聴覚、「音を聞く」という情報処理のしかたと、身体の「横曲げ」、それから「横移動」の動きが非常に関連が深いです。