自然体チューニング 講義録 8

今見ることのできる生物の中で、神経系を持っている一番原始的な生物がくらげです。進化をさかのぼっていった先の、もっとも古いご先祖様に近い生き物です。


人類の先祖がくらげだというのではなくて、複雑な運動ができず、ただ伸び縮みしかできないような原始的な運動をするご先祖様がいたはずですが、というお話です。


で、そのくらげは耳がないんです。見ればわかるか(笑)。


耳という器官はついていませんが、細胞で音らしきもの、微振動?でしょうか、それを感じているらしいです。


これが進化して脊椎を持った魚になるとどうなるか。小学校でフナの解剖をした時の教科書で覚えているのが、身体の横に点々のラインがあって、そこで音を聞いていると習いました。


すべての魚がそうかどうかは知りませんが、皮膚全体で微振動を感じたところから、より音を聞くのに優れた細胞を側面にならべたということですね。フナの場合。


魚の頭に哺乳類のような耳の出っ張りを作ってしまうと、泳ぐときに水の抵抗が大きくなってバランスが悪くなって、ふらふらしてしまいますから、あまりそういう選択肢は持たないでしょうね。人間や哺乳類から見たら耳には見えませんが、魚の構造としては立派な耳だということでしょう。


魚類にもいろいろ例外があって、ちょうちんアンコウとか、かなづちみたいな頭部のサメもいますから、例外はあるでしょうけど。やはり全般的にはボディで音を聞いているものと思われます。

さて、テーマは「横に曲げる動作と聴覚」ですから、音を聞くイメージを加えて動作をしてみます。


自分が井戸の横に立っています。井戸でも穴でもいいんですが、その井戸、穴の奥の方に「ぴたん ぴたん」という水滴が落ちるような音が聞こえているという状態だとします。


自分の立っている位置の左右に井戸が一個ずつあってそれを聞きにいくという風に横に曲げてみてください。聴覚優先で曲げてみる。井戸の底の音を追いかけていくような。


曲がるでしょ?もう一つ言うと、井戸の方に体重を乗せていくと落ちますので、井戸の穴のない方に体重を乗せて下さい。


音を聞きながらだと横に曲がりますが、目で見本の真似をするとやると、途中で止
まってしまいます。音を聞くことで「視覚ブレーキ」がはずれるのですね。


今のは、自分でやれる柔軟性の変化でしたけど、今度は柔軟性以外にどんな影響が出ているのかを確かめてみることにします。