ざくっと那智勝浦2 驚愕の1820円

石巻のトールさんとは別に、那智勝浦にも初期からがんがんに活動していたとーるさんがいる。岐阜の中津川人である。


どんな切迫した場面でも、マイペースを貫く男である。にこりとにやりの中間の笑いを浮かべながら


「まっ、なんとかなんじゃないの」


という感じである。



職業は自動車の販売や修理らしい。また石巻にもけっこう早い時期に駆けつけたらしい(複数の人の話を混同しているかもしれない)


那智勝浦で大量の人を運んでいる白のエスティマは、彼が提供してくれている車である。


数週間前の那智勝浦のトムのブログで「愛車は行方不明」とか「まだ帰ってこない」とか書いてあったので、盗難にでもあったんだろうかと思っていたら、今回の訪那智で真相があきらかになった。


那智勝浦に住民票を移して、町民としての覚悟を決めて移住してきた和助さんだが、その荷物を取りに関東まで帰る時に使ったのが、トムの軽ワゴンであった。


長野の飯田まで高速で帰ってきた時に、その車が白煙を吹いて走れなくなった。エンジンのオーバーヒートである。


ちょうどその日は名古屋のイベントで、和助・とーるご両人は合流して参加の予定であった。ので、白煙を吹いてうんともすんとも動かなくなった車を前に和助さんが途方にくれていると、そこへとーるさんから電話があった。


「今どこ〜?」


「飯田でございます。トムの車が白煙を噴いて動かなくなったんでございます」


「あっそ、近いね、なんとかなるんじゃない」



一時間後、自動車がそのまま積めるトレーラーでレスキューに駆けつけたとーるさんであった。そのままトムカーは、岐阜の彼の工場で修理されることに。


津田が那智勝浦入りしたちょうど前日に、トムカーは修理を終えて那智勝浦に帰ってきました。(津田とは入れ違いでとーるさんとは会えず)


しかし、そこにあったのは、薄汚れたトムカーとは似てもにつかぬ、清潔な新品同様の車でした。


(ここは劇的ビフォーアフター風に読むべし)


♪たららー たらららー たらら らん、ららんらーん、

白煙を噴いて止まったエンジンはもちろん快調です。白く塗りなおされた塗装。思い出の表札代わりのガムテープはそのままに残されています。シートも何もかもが新しく生まれ変わっています。ついてなかったカーナビまでついています。


ようするに「かなり程度のいい装備が充実した新しい中古車」に買い換えた状態が出現していたのであった。


さて、そこで修理代金を請求された和助さんであった。内心びびっていた和助さんであった(推定・憶測)


(ここプロジェクトX風に)


彼は請求書を見た。絶句した。


そこには


「1820円」


と書いてあった。



なんと彼は、あっちの廃車、こっちの中古車、そっちのスクラップから使えそうな部品を寄せ集めて、どうしても手に入らなかった「ゴムパッキン代」かなんかの1820円以外は、費用を発生させなかったのでした。


夕日の中、遠く岐阜県津川町の空に向かって、涙を浮かべて請求書を握りしめる和助さんであった(推定・憶測)



年が明けると、すぐに水害からまる四ヶ月になる那智勝浦。


和助さんが腰をすえる準備が進んでいる一方で、トムにはそろそろ活動の終わりが近づいているというウワサも聞く。


野人トムよ、どこへ行く。(ちなみに筆者は彼のひげのない写真を見たことがある。あまりの好青年ぶりにびっくりする)


お疲れ様でした。


那智勝浦ボランティアベースなごみ「和」は、新年は1月4日からの活動開始です。


お問い合わせは 
和(なごみ専用電話) 080 3303 7831 こちらまで。