十河組の三日間

十河さんは、ふだんは琵琶湖畔の清掃ボランティアをしている方だ。10月のある日、小学校5年生の息子さんをつれて那智勝浦のボランティアに入りました。


ちょうどそのころは、ボランティアが大量動員できているころで、井関の旧道から山側に入った大きい敷地の家などを数十名規模でがんがんにやっつけていたころ。


まだまだ暑い昼間で、私はスーパーカブの荷台と股ぐらにぎっしりとスポーツドリンクやお茶のペットボトルを積み、魚市場からやってきた氷をまぶして現場を周り、冷たいお飲物配達員をやっていました。


旧道から奥まったところにあるKさん宅で活動しているみなさんに飲み物を届けに行った時、ちょうどお昼で作業が一段落し、リーダー格の人かな?「記念撮影しましょう、みんな来て〜」というところだった。


でもこれって実はけっこう微妙なんであります。基本的にはやめてほしい行為です。ボランティアは自分たちが充実してたなあと笑顔でピース写真撮るために来たわけではなくって、被災された方が少しでも笑顔が取り戻せるように活動しているわけです。


「ちょっと待って」と言いかけたところで、その家のご夫婦も合流されて止める必要のある状態じゃなくなりました。そしてさらに奥さんの方が


「○○ちゃん、ここ、ここ」


と自分の横で一緒に写真を撮ろうと手招きしたのが、十川さんの子どもさんだったのです。奥さん、もうほとんど孫を見るおばあちゃんのように目を細めてとってもうれしそうです。


どうも半日の作業の間にすっかり仲良しになって、孫化してしまったようです。


琵琶湖清掃の十河組ですが、もう一つの顔が「和太鼓活動子ども隊」です。いろいろな慰問ボランティア活動も活発にされている。



十河ジュニア、ボランティアの最中に「ぼく太鼓もやっているんだ、見てほしいな」と言ったか思ったかは未確認だけど、まあそんな思いで滋賀へと帰って行ったのでした。



年が明けて先週末、十河さん親子が再び那智勝浦にボランティアに戻ってきました。それも子ども太鼓隊の仲間18人も一緒です。



作業ボランティアもしっかりやった跡で衣装を着替えてkさん宅へ子ども太鼓隊18名が勢ぞろい。


がれきはきれいに片づいたおうちの前の広場(元は畑)で「エイサー」と、さらに衣装を買えて「ソーラン」を披露した十河ジュニアと仲間たちだったのでした。


見ていたWithのひろこさんも「うるうるっと来た」と書いていたけれど、さてKさんご夫婦、きっとうれしかっただろうなあと思います。


太鼓隊の写真も出ています、Withさんのブログ 


 http://blog.livedoor.jp/nachikatsu/


こういうイベント的被災者の元気づけというのも、なかなか難しいところがあります。南三陸でテレビ局が張り付いて撮影していたゴスペルグループの避難所慰問に居合わせたことがありますが、いきなり来て、体育館の中でリハーサルやって、そのまま本番に入って、ほとんどの人が聞いていなかった、という「ほぼ迷惑」な場面がありました。


いきなり来て、いきなり歌って、聞く義理はありません。


だから、今回のように、まず現場に入って、しっかりと作業して、被災の状況というのも身にしみてわかって、住人の方との交流もあって関係もしっかりとできて、その上でまた訪れて作業もした上で、芸も披露するという今回の形はとっても好きです。


被災者を元気づけようと子どもたちのエイサーボランティアが来たから見る、というのと、被災地のゴミやがれきを片づけるボランティアをした子どもたちが、エイサーまで披露してくれたというのは違うと思う。こっちが断然いい。


ていう話を帰りの電車でぱこぱこ打っていたら、その十河さんからメールが来ました。


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津田先生、こんばんは。本当に充実した三日間でした!。


ありがとうございました。とにかく和助さん・ひーさんが、すべて 一番良い形で準備してくださいました。マルさんも、子供達を楽しく引っ張ってくれ、ウイズの ひろこさんは、特に10月にお手伝いしたお宅に 一緒に行ってくれ、演舞の段取りをしてくれました。


その際、私と息子は、そこの おじいちゃんに肉うどんをご馳走になり、飲み物やお菓子を沢山頂き 二時間も 時に泣きながら また 笑いながら過ごしました。


翌日の勝浦港での にぎわい広場朝市での 演舞。市場を出しておられた方々から お土産を持ちきれないほど頂いてしまいました。86才のおばあちゃんのお店を囲んで、子供達と泣きながら話しました。感動的でした。


私達が行った日の朝に、トムさんと話した際、いろんな胸の内を語ってくれました。トムさんは その夜に去られました。青少年の家では、山口所長は出張で会えませんでしたが、泉佐野のたーぼーさんが、わざわざ 帰宅途中に挨拶に寄ってくれました。嬉しかったです。すべて 感謝 感謝でした。また行きます!、ありがとうございました。 十河



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9月6日の活動初日からずーっと那智勝浦の中心になって活動していたトムが、まるまる4ヶ月経過したのを一応の区切りとして、那智勝浦を離れました。といっても、「埋もれた被災地を発掘する?旅」に出たもようで、被災地各地をずっと見て回っているようです。


詳しくはトムのブログで。



http://ameblo.jp/tomkichige/