他言語意識による思考パターンの強制変更環境下における成果促進
進化体操実施のガイドラインに「常に自己採点しながら実行する」というのがある。
無意識反射を引き出す訓練としての進化体操。毎回の練習のたびに「出会ったことのない自分の動き」と出逢い続けることをもってよしとしている。だから事前の想定というのは無意味であるが、どうしても「頭で想定したイメージに近づける」という通常の練習のパターンに陥りやすい。
想定外の自分の動きに出会うたびに加点していく、という枠組みに自分を入れ込むことで、想定外と出会うことを想定にしてしまう。自己観察の枠組みに入れ込んでしまう。
しかし、自己観察するといっても、どの方向に向かっての試行錯誤なのかということは明確にしておく必要がある。自分は今何を意図しているのかというのを明確にしていくと、試行錯誤の頻度が著しく上がる。
進化体操をやるのに、今から「進化体操を始める」という意識では、実は何も試行錯誤は起こらない。採点することもできない。例えば「今から無意識反射を活発にするトレーニングをする」ということをテーマに掲げて、どの程度無意識反射が活発になったのかということを採点できる。
採点する習慣を入れ込むというのは、実は「採点基準を持っていないことに気づく」ということとセットになっているのである。
常に稽古の目的を明確にする習慣のわくに自分を入れ込むということである。私は今何をしようとしているのか、ということを常に明確にするのである。
しかし、なかなかそうはならない。自分風の自己満足のわくから出られない。
思考回路が一般的日本人の枠組みの結果そうなってしまうので、言語回路を一般的日本人の日常会話とは別もののをもってくることで、発想の枠組みを変えることを試み、著しく成功した。
整体教室の三時間、アメリカ映画やドラマで耳にしたあっち風の会話をひたすら続けたのである。
「森安さん、誘導点をちゃんと押さえないと、ずれてますよー」
というところを
「TAKEO!僕のアドバイスを聞いてくれるかい」
「どうぞ、マスターTSUDA、何でも言ってくれ!」
「君は、誘導点の押さえ位置が時々不正確になる欠点があるみたいだ。どうやればずれなくなるのか工夫してみて、結果を教えてくれないか」
「ほんとうだ、気がつかなかったぜマスター」
だとか、相手の押さえ方がいまいちでも、「まっ、いいか」と適当にしてしまうところを
「ちょっとナンシー聞いてくれる?」
「なーにバーバラ」
「あなたの押さえ方は私にもちょっと強すぎるようなの」
「それはごめんなさい。これぐらいはどうかしら」
「とてもいいフィーリングよ。その押さえ方なら無意識反射がとても活発になってうれしいわ」
なんて会話である。
「肋骨あっぱれ!」
とやっていたところを
「アラシ!君の皮膚感覚はとてもすてきだぜ。肋骨の間にバネが生まれて、勝手に飛び跳ねているみたいだぜ。オウ、グレート」
などなどと三時間みっちりまじめにやり続けたのである。
「目的意識を常に明確にしよう」とか「体感をクリアにして、それを追いかけて」
という言葉をかけるとみんな「そうだ、そうだ、そうしよう」と思う。
思うけれども、実行しているかと言えばいつものパターンを続けているだけ。やろうと思ったらやっていると思っているけれども、実際にはやっていない。
だから、嫌がオウにも主語と動詞を明確にする言語体系で稽古することによってそれらを明確にせざるをえない環境に放り込んだのである。
ナンシーめぐみやバーバラきよこやミスターTAKEOやARASHI(本名、イラン人です)は、アメリカ的言語体系の対話を連続的に行うことで、「いつもの感覚」を脱し、特にハードな「鳥体操」や「獣体操」を連続5分やっても6分やっても涼しい顔で、しかもこわばりは激減、疲労感は皆無という状況をもたらすことに成功したのである。
そして、それはそのまま自宅実習、自主練習の意識付けなのである。
自分が正しいと思っていることを繰り返すのが稽古ではない。自分がどういう勘違いや間違いをしているのかを発見し続けるのが稽古なのである。
稽古の最後は自主練習。
ミスターTAKEOは、1人でアメリカ風対話をぶつぶつと繰り返しながら、今までの「思いこみの繰り返し」や「頭の理解のための質問」を一切しないで、飛躍的に無意識反射を向上させていたので
「TAKEO!今日は君のへりくつを聞かないでとても嬉しいぜ!」
と言ったら、M安さん、今まで観たこともないほど爆笑でした。
火曜日出席のみなさん、できれば出席までに「奥様は魔女」でも観て、あっち風に会話のニュアンスを身につけてから来てくだされば効果倍増。
こういう稽古がまじめに全員が拒否反応もなしに成立するのは、やはり関西だからなのだろうか。