連載32回 整体チームの手引き

東日本大震災ボランティア活動記録


「本職でボランティア」


連載32回目


2011年4月20日 整体チームの手引きをつくる 


 当初の予定を大幅に変更した三週間を超える活動になってしまった。今日は一時帰宅していた採澤君も復帰してきた。これで安心して明日で撤収することができる。今日は現場に出ず、3日ほど前から書き始めた「整体チームの手引き」を仕上げることにする。


 それでも朝のチームミーティング・本日の活動先調整には出て、一通り終わったら、高木さんがちょっといいですかと言う。どうぞと発言をゆずったら


「メンバーのみなさん、実は今日はリーダー津田さんの誕生日です。」


 まいちゃんがパソコンを手に持っているから何のためだろうと不思議に思っていたが、ダウンロードした音楽をかけるためだったらしく、パソコンのBGMで「ハッピーバースデー」をみんなで大合唱。恐縮です。とても感激した一方で、やはり一つの潮時という感じもした。なんせ集まったメンバーの自主性がすばらしく、新しく参加の人も二日三日ですばらしい戦士になるのである。私が何もしなくてもチームは機能していき、このチームが存続していれば、いつ石巻に帰ってきても、安心して活動できるのである。


 自分が作った避難所データ記入用紙であるが、一番ずさんなのが私なのである。メンバーの書いた報告書は実に役に立つのである。なるほど、自分は初動にしか役に立たない人間なんだなと納得した次第である。
 

 チームに引き継いでいってほしいなと感じたこと、新しくチームに参加されるかたに心得ておいてほしいなと感じたことをまとめたのが下記の「手引き」である。(すこしずつ改訂したので下記は5月8日版)

※これはあくまでの昨年のその時期の中身です。今年はぜんぜん状況は変わっていますので念のため。



【整体チームの手引き】


整体・マッサージ・鍼灸・アロマ・足つぼなどの「からだのケア」で被災地での活動を考えられている方へ


※5月8日現在の状況に基づいて書かれています。
状況の変化にHPの内容の更新が追いつかないことがあります。


【まずはじめに】


避難所にでかけて、整体の施術のあとに「ありがたいねえ、ありがたいねえ」と涙を流して喜んでもらえた体験を多くのメンバーが体験しました。われもわれもと炊き出しのような順番待ちになったこともありました。(まるっきり空振りのこともあります)


これは、実際に石巻ボランティアセンター復興支援協議会に所属している「リラクゼーション・ケア隊 整体チーム(+理容・美容 大工さんチーム)」の活動で実際にあった情景です。


だから、そういう報道を見て、「私も力になれるんだ、なりたい!」と思われたあなたの気持ちは、私たちと同じです。ぜひ参加して下さい。力を合わせていきましょう。


だからこそ、以後に述べることをよく読んで頂いて、「本当に被災地の力になる活動」の形にスタンスを置いて頂きたいです。その内容はあなたの意欲に水をさすかもしれませんが、実際に活動している現場の声として、お読みください。


【参加条件 柔軟に活動できる方】


最初にぜひお話しておきたいことは、あなたが被災地で整体・マッサージなどの「被災された方の体のケア」の活動したいと思っていても、状況に応じてそれ以外のことも柔軟に何でもやります、というスタンスの方でないと、被災地救援のチーム活動としては機能しませんので、まずそのことをご理解いただいた方のみ、先を読み進めていただきたいと思います。


【チームの特性 性格 立ち位置】


以下の内容は、石巻ボランティアセンター・復興支援協議会所属の「リラクゼーション分科会 整体チーム(体のケアができるスキルを持った人をメインにしたチーム)」の活動に参加される場合に、スムーズに活動できる条件を前提に書いたものです。このチームに参加しないと被災地活動ができないということではありません。


整体チームは、「整体チーム(整体・鍼灸・マッサージ・足つぼ・アロマなど)と美容師理容師のメンバー、さらには大工さん(簡単な修理や包丁都研ぎなど)などの混成チーム)」で活動しています。混成チームで行くことで、避難所の多彩なニーズにより対応することができて、結果として質の高いサービス(被災者救援)活動が行われる場合が多いからです。


メンバーは、石巻専修大学ボランティアセンター受付で、毎日メンバーが出している募集プラカードを見て参加する個人が中心です。10名弱〜30名程度で、長期活動メンバーが交代でリーダーや事務局になり、助け合うことでスムーズな活動ができるようにしています。


団体で参加の場合でも、その団体の活動のみにこだわらないで活動される場合には、ジョイントしていただいています。



【活動場所 地域】


訪問先は主として避難所です。500人〜600人の避難所もあれば、10名規模の地区の小さな集会所のようなところ、避難所のようになっている個人宅まで多岐に渡ります。
このホームページをご覧になっている方の大半は、おそらく「どこで活動すればいいのかの情報がない」という思いからだろうと思います。実は、それは現場の私たちも実状は同じです。そういう情報の一元化されたものは誰も持っていません。
だから、避難所に出かけて実際に活動して、状況を問い合わせできる方と連絡先を交換し、資料として残すということを繰り返していきます。


避難所の統廃合などもありますし、被災者のみなさんの避難所に集まる時間帯なども短期間で変更していきます。仮設住宅への引っ越しもあります。ですから実際に行かないとわからないことも数多くあります。
実際に被災者に喜ばれるような活動をしようとしたら、メンバー調整や打ち合わせ、訪問先選定、車両や運転手の確保、連絡、周辺情報収集、移動を合わせると、実際の施術以上の時間がかかる場合があります。ものすごくめんどうな作業がたくさんあります。


被災地で活動するということは、そういう状況だということです。ですから、マッサージのみやりたい、という方は、ご自分で訪問先を探して活動してください。


活動エリアは石巻市街から、河南・河北・北上・雄勝・牡鹿・東松島・南三陸など周辺20キロ〜30キロぐらいの地域にも出かけています。


美容・理容や、整体・マッサージなどの訪問がなかったところを探して活動し、またその避難所と周辺のニーズ調査も行い、関係部門に連絡するというような活動もやっています。


現地で立ち上がった団体です。専従の職員がいるわけではありません。だから避難所ごとの情報を資料として残して引き継ぎ、後から活動に参加するメンバーの活動がスムーズになるように、綱渡りでチームを存続させながらの活動です。



【被災地でより役に立ついくつかの条件】

○少なくても4日以上が望ましい。できれば一週間単位で活動できる方。

○カーナビのついている自動車に乗ってきている人。

自動車保険が、誰が運転していても補償がでるかたちのものである人。

○三日や四日、お風呂に入らないでも平気な人。どこでも寝られる人



【結果的にこの「チームの活動」とはずれるケース】


○団体(7〜8名以上)で、全員がそろって同じ活動場所を希望される方。

○活動日の朝8時半に石巻専修大学に集合できない方(事前に打ち合わせができている場合をのぞく)。その日に行く行き
先、配車の調整ができないため。

○活動日の6時半に石巻専修大学に戻れない方。(事前の打ち合わせができている場合をのぞく)活動の報告=情報の共有ができないため。(活動最終日の現場から直接帰る場合をのぞく)

○お年寄りが多いところに行きたい、子どもがいるところに行きたいなど、細かく条件を持っている方。対応できる場合もありますが、全体の訪問先選定に支障が出る場合があります。考慮はできても、参加の前提にはできません。

○職業がわかる服装は、被災者から見て便利なのでご用意をおすすめします。団体をアピールするためのユニフォームは、被災者の方々には関係ないので、ご遠慮願います。


【住居宿泊】


長期活動される方に関しては、何カ所かある宿泊できるところをご紹介できます。長期の方、リーダー役を買って出て下さる方、運転役でできるだけ疲労をとってもらいたいなというような方に優先していただくことになると思われます。


【団体参加の方へのお願い】


もしも可能であるならば、団体で来られるよりも、少数を長期間送り込んでください。
10人以上で日帰り、一泊二日で、全員で同じ活動場所を希望するというケースは、避難所の実状に合わせにくいのです。
美容理容であれば、大人数がカットできる場所がある避難所ばかりではありません。そうすると、結果的に大規模施設ばかりにサービスが繰り返されることになります。
もしも可能ならば、10人で一泊二日のエネルギーや費用で、一人二人を5日6日一週間(それ以上)現地に送り込むという活動をぜひ検討して下さい。


あなたが被災地で活動したいという思いは、とてもすばらしいのですが、一歩踏み込んで誰かを長期送り込み、大人数でその人の休業補償や仕事の穴埋めサポートをする活動にぜひぜひ変えてください。その方が、結果的に被災された方々のニーズにより柔軟に対応したり、あるいはボランティア活動全般がスムーズになるための活動まで期待できます。現場ではそういう活動ができる方を、一定数常に求めています。


【上記の条件に合う方で参加を希望される方へ】

参加される方のお名前
参加されるかたの内訳・人数
 整体・鍼灸・マッサージ・足つぼ・アロマなどの別
代表の方のお名前
ご住所
店名など
携帯メールアドレス
携帯電話番号
参加初日専修大学到着予定時間
車の台数
乗車定員


返信は、チーム参加OBで手分けして返信と事前確認メールのやりとりが行われます。
現地組が忙しいので、できるだけ後方支援のメンバーで詳細を詰めた後、現地組とコンタクトを取っていただくような仕組みにしています。