連載39回 黒澤親分/他

東日本大震災ボランティア活動記録「本職でボランティア」


連載39 回目


南境生活センタ 黒澤親分 

黒沢親分


 黒沢親分。親分と呼んでいるのは主として牡鹿の浜の漁師さんたちで、一般的にはクロさん。最初にお見かけしたのは、15年前のナホトカ号の重油流出事故のボランティアの時。親分は、当時日本財団で災害救援のセクションにおられたようで、いろんな現場でいつも誰かと打ち合わせをしては次の現場へと走りさっていく黒さんがいたのを覚えている。当時はお話をする機会もなく、ただボランティアの後方支援的な仕事をされている方なんだろうなと理解していた。


 少なくとも阪神大震災以後、あらゆる災害現場に立ち、活動した黒さんである。その黒さんでさえ、今回の被災地は、過去の災害現場がなんだったんだろうと思えるほど(実際に被災された方に取っては大小は関係ない。念のため)甚大な被害だという。


 黒沢親分は、大沢親分と違って、ボランティアに「喝!」ということはない。口だけボランティアや勘違いボランティアには冷たい視線を送るだけである。(あまりにひどいのは別)そして、すばらしい活動報告をミーティングで聞くと、にこにことその人に向かって静かな拍手を送るだけである。「あっぱれ!」



0か1か まず姿を見せよう


4月の前半か中旬ごろ。まだまだ泥出しの必要な家が山のように残っていた頃の朝のミーティングでの黒沢親分の話。那智勝浦にも来てくれて、春合宿にも参加で今また、石巻で活動しているタカさんの質問に答えたもの。


 「僕たちボランティアが今石巻でやれていることはね、それが終わるまでに必要なことが7〜8ぐらいあるのだとしたら、せいぜい1なんです。ゴールから見れば、まだまだ5も6も足していかないと、ぜんぜん足らないんです。でもね、1はねゼロではないんです。


津波をかぶって、家の中が泥だらけになって途方にくれている。どこから手をつけていいかわからない。道具もない。人手もない。亡くなった家族もいる。こんなの家族だけでどうやれっていうんだ、年寄りだけでどうやって片づければいいんだ。そこにね、ボランティアが姿を見せにいくんですよ。お手伝いに行くんですよ。そうすると、ああ、ボランティアが来てくれた、助けてもらえるんですか、いいんですか、となるんです。」


「必要なのは6でも7でもね、まず行くだけでもいいんです。姿を見せればいいんです。するとこれで1が生まれます。誰も行かなければゼロ。ゼロはいつまでたってもゼロなんです。でも1は増やしていける。ゼロと1、1と2。違いはどちらも1だけど、ゼロと1はぜんぜん違うんです。」


 そうなんだ。ゼロは希望がゼロなんだ。行動もゼロなんだ。1の行動が生まれれば、希望も1つ生まれるということなんだ。


「だから、一軒の家に行くと隅から隅まできれいに片づけたくなるけれど、仕上げなくっても、だーいたいできたら、もう次の家に姿を見せにいったらいいんです。そうやってね、順番に町内の中で手がついて動きだしたところを増やしていく。」


 北上川沿いのある中学校のヘドロだらけの体育館の片づけに、マッドバスターズが駆けつけ、ヘドロ撤去、清掃をした。卒業式用に紅白の幕で飾られた体育館。その幕には津波の押し寄せた高さに線がついている。床には厚くヘドロが堆積し、がれきが流されて入る込んでいる。教員や職員だけで筒底何とかなるとは思えない状況だった。


 数日の活動で、ヘドロは一層され、体育館のツヤ光りする床が見えるまでになった。


 校長先生はじめ先生方、用務員さん、涙を浮かべて感謝の言葉を述べたという。


「本当に驚きました。ボランティアの力を。これからの人生は私も被災地に駆けつける人になりたいと思います」とつぶやいた先生もいたという。


 奈良の柔道整復士、高木さんも、5月の連休明けから一関の「熊が出ると噂のある」「トイレはこうもりだらけ」で、夜になると寂しいというより怖いキャンプ場を拠点にして、一人で気仙沼方面を回っていた。(のちになおやさん、後藤棟梁も合流)。


 採澤君も、あきおさん紹介のこちらはレストハウスを拠点に、気仙沼の唐桑半島方面の「整体・マッサージ訪問空白地域」を少人数の部隊でひたすら回っていった。ゼロを1にするために。「あっぱれ」



■■■■新大阪健康道場からお知らせ■■


東日本大震災で活動する仲間を応援するための特別講習会


「皮下チューニング」


手を当てて皮膚を動かすことで、動き改善、披露激減。いつでも役立つ、いざというとき役立つ。ぜひ体験して身につけてください。


6月17日日曜日1時〜5時


参加費は決まっていません。現在石巻ではつっくんが長期活動中。また近々道場の仲間も順次活動参加予定。この講習会の参加日はそれらの活動の資金援助に当てられます。


※毎月定額募金も募集中です!現在5名の方から毎月15000円の募金の申し出をいただいています。目標50人で10万円


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●進化体操


架空コーチにより、一人練習に画期的な局面を拓いた「進化体操」ですが、あらたに
「ミラクルステップ シャドウ」が登場して、ますます効果激増。一人練習が楽で楽しくて長時間あっという間に。


60分ほぼぶっ続けで動いて、まだまだできるという感じです。無意識反射運動二倍、連動性二倍、疲労感半分以下(というかほとんどない)という感じです。


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●「進化体操の指導者をめざす人のための特別講座 全3回 残り2回」


7月1日は残り4名、8月5日は残り6名 受付可能です


上記講座についてはこちら↓

http://d.hatena.ne.jp/meuto/20120525