連載46回目 イカ1万匹撤去作戦/琵琶湖清掃ボランティア

東日本大震災ボランティア活動記録

「本職でボランティア」 


これは昨年5月に、宮城県石巻市の災害現場でお会いした「過去の災害救援からの経験豊富なボランティア」「さまざまな本職を活かして、被災者に喜ばれる技能・職能ボランティア」のみなさんの活動を、「こんな活動もあるんだ、こんな活動をしている人もいるんだ」ということを多くの方に知ってもらいたいと、大急ぎで本一冊分ぐらいの分量を書き、筆者の関係者にお配りしたものです。とにかく一日でも早く多くの人が読み、被災地にさまざまなプロが駆けつけてくれればという思いで書いたため、内容には筆者の独断や偏見、認識不足や事実誤認も含まれていることをお詫びいたします。


連載46回目


イカ1万匹撤去大作戦


南境生活センター(現・オープンジャパン)の毎朝のミーティングに参加すると、その時々にどのチームがどんなミッションを行っているかを知ることができる。被災された方にとっては笑えない話だが、実話なのでそのまま紹介する。そんな一つがイカ屋敷突入作戦である。


日本近海でも特にいい漁場である三陸沖。石巻には水産加工業者や海産物の会社が多数あり、当然冷凍倉庫もある。津波の勢いで崩壊してしまった一つの冷凍倉庫におびただしいイカがあったらしい。そのイカが流れの関係である一軒の民家にことごとく流れ込んだ。誰が認定したのかは不明だが、その総数は1万匹という。(イカは一杯二杯と数えるのが正しいらしいが)


しかも家につっこんだ時は固い冷凍状態だったために、そこかしこに突き刺さっているという。尾ひれが付いたまゆつば話かと思っていたら、実際に参加したがってんさんのブログに写真があった。確かに家中・家の外も塩からのようなぐにゅぐにゅだらけ。


ふつうの泥出しだって大変な作業である。朝晩は強烈に冷え込むみちのくの4月とは言え、春は春。腐敗が進んだイカ一万匹は、強烈にその原型からかぎりなく崩壊し、強烈な臭気を放っている。


※北海道のがってんさんのブログ
 http://www.wakka.biz/wakka/shinsai02.html
 このアドレスで4月9日を観てください。たぶんあなたが想像した情景の一桁上の惨状がアップされています。


自衛隊の任務の対象は、基本的に公共の場所や避難所に入った被災者がその対象になるらしい。道路を通れるようにしたり、瓦礫化してしまい撤去が決まっている家や住民共通の給水などは対象になるが、個人宅の中のように私的財産は対象からはずれる。自分の家の中の片づけは、基本的にその家の持ち主の責任になるということだ。たとえそれがイカであっても、個人宅のゴミという解釈になるわけだ。だからとりあえず自衛隊が撤去してくれることはない。イカの持ち主にも責任の一端はあるかもしれないが、被災しているからやってもらうという選択肢は実際問題ない。


だからやれるのは依頼を受けたボランティアとなるわけだが、それだけ困難を極める状況だということになると、一般ボランティアにまかせてしまうという訳にもいかない。だから着手はずるずると遅れ、いっそう腐敗は進む。


ついに意を決して、ミッション・イカが計画され、突入部隊が結成された。長靴、雨合羽、ゴム手袋に防塵マスク。皮膚の露出するところをなくし、また接合部はガムテープで綿密に目張りされた。たとえは悪いが放射能防護服と同じ外観である。


ミッションの責任者に任命された若者は、ミッション遂行中は朝のミーティングで常に「イカ太郎」と呼ばれていたため、氏名が分からない。美容師まいちゃんは、整体チームに合流する前に、この「イカ屋敷救出作戦」に参加していた。彼女が現地入りするために、地元の農家から借りて乗ってきた軽トラは、イカ搬出に使われた。終了後にかなり綿密に洗車したらしいが、「イカ号」と呼ばれるようになったその軽トラは、乗ると確かにイカ臭かった。ちなみにそのイカの臭気を「イカシーベルト」と言っていた。


イカ屋敷チームの報告は、数日間朝のミーティングに登場していたから、とても一日では終わらないぐらいの尋常な量ではなかったのだろう。


イカ屋敷の終了の報告とともに、実はまだホタテハウスとカツオ小屋もあるんだという話を聞いたが、南境メンバーの手からは離れたらしく続報は聞いていない。


決して不謹慎なボランティアだと思わないでほしい。こういう明るい冗談にでもしないと、やるにやれない困難な現場だったということもまた合わせて理解してほしいと思う。


【あとがき】


毎度同じことを追加で書きます。時々ブログに書いていますが、いわゆるボランティアセンターのマニュアルでは、立ち上げの時点で「危険でなく人力でできる程度の作業内容」にあらかじめ線引きをします。その時点でボラセンスタッフが現地に実際に入っての調査というようなステップがマニュアルにはありません。マスコミ経由、電話、ファックス、口コミです(宇治市ボラセンマニュアルより)


この線引きは必要なことです。でないとどんな依頼でも一般のボランティアの人に振るということになってしまいます。困るのは、作業内容をあらかじめ狭めているにもかかわらず、困っている人がいて、重機やチェーンソー、大工仕事などの取り扱いに長けて経験豊富な人が来ても、引いた線の外側のことは、「すべてボラセンを通さないと困る、通したらさせない」というような状況を作り出していることです。


石巻の活動が良かったのは、一般ボラセンの他に復興支援協議会という各種団体の受け入れ団体を立ち上げて、各団体の特性での活動を受け入れていたことです。それらが分科会に分かれ、必要な部署にはボラセンのスタッフも入って団体間の調整をして、一般だけではできないことでも対処可能なことはやっていったということです。


だから、今後の災害の際にも、ボラセンの運営の際、そういう受け入れ体制を合わせて作って「対応可能なこと」がでてくれば、ぜひ被災された方の笑顔を取り戻すための活動にブレーキをかけないでほしいということです。


【後書きその2】


文中の「イカ太郎」は、どうも那智勝浦にも来てくれた日光の内藤カメラマンだったようです。違いますかね?


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【おしらせいろいろ】


那智勝浦でも一緒に活動した滋賀の十河さん、二回目の参加時には子どもたちの「太鼓演踊チーム」も連れてきて、活動で仲良くなったお宅の庭先でも披露!なんて素敵なことをしてくださった方です。


毎月琵琶湖の湖岸清掃活動をされているのですが、宇治の水害につながった台風で、ものすごい流木で護岸が埋まってしまい、今月週末ごとに大規模撤去作業を企画され実行中です。


行政にかけあったけど「予算とかいろいろありまして、数ヶ月は手が付けられません」というような状況だったので「ええい、自分らでやったれ!」ということになったみたいです。


そこに手を挙げたのが大阪ダッシュ隊のトッピーさんと仲間達。合流してすでに活動開始。

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ポニョもトトロも銭婆も

カツオもワカメもタラちゃんも

手袋着けて長靴履いて

みんな来い来いびわ湖へ来い


夕日に照らされた美しいびわ
満天の星空の下 月の光が映る 母なる懐

思わず近寄り そんな母の手をそっと握りました

その手は 真っ黒に汚れ傷だらけでした

いつでも変わらず 黙って命を繋げてくれる母なるびわ

少しでも お返ししたいと思いました。

10月21日 28日 11月4日

 彦根港9時集合 4時ごろまで

 湖岸に流れ着いた膨大な流木などの撤去作業。


※主催者連絡先は津田にお問い合わせ下さい。十河さんですけど。


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【進化体操】

●新大阪健康道場 10月21日「進化体操一日講習」
どなたでも参加できるレベル1クラス開催

10時〜5時 
詳しくは↓
http://tsuda-seitai.petit.cc/




●関東で講習会開催!(講師・吉田雅人)

11月18日 関東初上陸 進化体操講座

http://ameblo.jp/nbw-seitai/entry-11378608822.html