本職でボランティア 祭りで復活 石巻5月5日太鼓編

長らく中断しておりました、連載の続きです。


東日本大震災ボランティア活動記録

「本職でボランティア」 



これは一昨年3〜5月に、宮城県石巻市の災害現場でお会いした「過去の災害救援からの経験豊富なボランティア」「さまざまな本職を活かして、被災者に喜ばれる技能・職能ボランティア」のみなさんの活動を、「こんな活動もあるんだ、こんな活動をしている人もいるんだ」ということを多くの方に知ってもらいたいと、大急ぎで本一冊分ぐらいの分量を書き、筆者の関係者にお配りしたものです。とにかく一日でも早く多くの人が読み、被災地にさまざまなプロが駆けつけてくれればという思いで書いたため、内容には筆者の独断や偏見、認識不足や事実誤認も含まれていることをお詫びいたします。また内容はあくまでも二年近く前の当時の状況に基づいて書かれたもので、現状とはずいぶん離れています。当時の様子を知っていただくためにも、ほぼ原文のまま掲載いたします。

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第4章 祭りで復活 石巻

5月5日 祭り当日 太鼓編


 

本殿前に戻ると、もちろん祭装束ではなく、長袖ポロシャツとかジャージとかの普段着の男衆ふたりの太鼓叩きの方が、太鼓の前にバーンと、本当にバーンと構えていて、その後には、男女一組の笛吹お二人がスタンバイ。

先ほどお話をした「みこし会」の人たちが、連絡をとって探して連れてきてくれた人たちだ。

この太鼓というのは、祭ばやしの太鼓ではなく、石巻の辺り一帯に伝わる「獅子舞」の太鼓である。獅子舞というと「正月」のイメージがあるが、大指では「春に使ったら、後は使わない」という言い方をしていたから正月ではないらしい。地区地区で少しずつ違うというから、その土地、その土地でずっと代々伝えられてきたものなんだ。


私の理解では、なまはげみたいに各家を獅子とお囃子と太鼓が回っていって、「いい子になるか〜」みたいな感じで、獅子頭で咬んでいくと、どうもそういうものと想像しているけれど、そうなるとこの大きい太鼓はどうやって引っ張っていくんだろう。


炊き出し屋台や青空整体や青空美容室や子どもコーナーで、祭の周辺はかなりそれらしくなったけれども、それらは全部「よそ者」のボランティアの仕掛けである。


神社の宮司さんは、本来の祭の神事をやって下さり、神様ごととしての核はちゃんと守られた。そこに、なんとか地域の方々がされるものを加えてほしかったのだ。


 来た、来た、太鼓が来た。


さあ、始まった。お囃子の笛が鳴る。太鼓がかぶる。もちつきに合わせてどこどこ叩いていた私の太鼓とはものが違う。気合いが違う。そろい具合が違う。


思わず飛び跳ねてしまう筆者であった。


一緒に太鼓を運んできた吉田くんとみ〜やんも、横で感激である。


ズババン、ズババン、バン、ババン、ババン


おっと、横面に皮を持ってきたオーソドックスな置き方の太鼓を、なにやら斜めに置き換えた。 ジャージの方の男衆がバチを構えて正面に立つ。ソロ太鼓だ。右に左に縦横無尽。打って、叩いて、時に大きく腕を広げて見得を切る。


かっこいい!


大指林業センターの佐藤会長に電話をかける。


「昨日、太鼓をお借りした津田です。聞こえますか?」


携帯電話を太鼓の方に突き出す。


「土地の方が出てくださって、笛も太鼓も使わせてもらってます。ありがとうございました!最高です。かっこいいです。」


よそ者が、何とか外面だけは間に合わせたお祭りだ。でもやっぱりそれは違う。地元の人にやってほしかった。いつもの祭のようにやってほしかった。獅子舞の太鼓は、祭の太鼓ではないけれど、でもこの土地で代々受け継がれて来たものだ。


みこし会の人たちが、ひーささんに言ったそうだ。


「来年を見ててくれ、必ず復興させて、復活させて、本当のここの祭を見せてやると」(実際は宮城弁なので、かなり意訳)


太鼓が終わった。痛いぐらいに拍手をした。


午後からは、午後から出店の「八ヶ岳ピースワーカーズ」のおでんを楽しみ、宮司さんの娘さんの腰痛を本殿内で調整する(劇的に好転したらしい)。


弁護士さんが「弁護士です、無料で法律相談承ります」という表示をつけて歩いている。この弁護士さんは、イベント広場で「法律相談紙芝居」をやっていた。ぎっしりと人が詰めかけた訳ではないが、きっとこの祭りに来ている方々の中に、誰に相談していいか途方に暮れている人もたくさんおられるだろう。その人の目に、この弁護士さんの「無料相談します」の看板が目にとまることを祈る。


イベント広場では、アロマ・足つぼのはなちゃんと、整体チームの現リーダータイマッサージのナベちゃんが「ファイアーダンス」を披露している。採澤君が「整体チームのメンバーは、何でこんなに芸があるんだ〜」と感極まって叫んでいる。同感だ。


 何度か現場で会い、話をするようになった関西テレビのカメラマンとアシスタントディレクターがいたので、(たけのこの里のカメラマンとは別人)青空整体にお招きして整体する。座り姿勢で肩や首がすっかり楽になったというので、うつぶせで本格的に背骨の調整をする。またいでしっかりと押さえた状態でまわりにいる整体チームメンバー
やお隣りの足湯隊のメンバーに叫ぶ


「みんな、携帯の動画でこの場面をとるんだ!」


うつぶせの横に社名入りのテレビカメラがしっかりと置いてあるから、職業・身分は一目瞭然だ。


「ふふふ、旦那、あなたの整体を受ける映像をしっかりと撮らせてもらいましたぜ。関西テレビの番組で、もしもいいかげんな被災地報道をしはったら、【YOU TUBE】に『被災者を押しのけて整体を受ける悪徳テレビカメラマン』というタイトルを付けてアップしまっせ。へっへっへ」と脅迫しておいた。


※翌年の和歌山の水害の時、関西テレビのやまひろさんが現場に取材に来ていた。車を使わず、被災エリアをずっと歩いて取材していたので何度も行き会った。上面だけちょろちょろっとなぞって番組に仕立てるという気配がなかった。上記のSカメラマンのことを話したら、「ああS君か、彼は孤立している○○地区に入っていってますね」ということだった。


4時頃になると、炊き出し隊やゲームなどがどんどん閉店していくので、にぎわっているのは本殿裏の足湯・整体・足つぼ・美容理容コーナーだけとなってきた。ボランティアのみんなで片づけをする。


午後五時。残っている祭り裏方ボランティアスタッフ全員が集合。宮司さんのあいさつをお聞きし記念撮影。今ここにいるのはほとんどがよそ者ばかり。来年のお祭りには都合をつけて来たいなと思う。そして普通の、普通の今までどおりの地域のお祭りを見たいなと思う。


 「はあ〜、一日交通整理でした」とだんじり青年のけーた君。でもね、君がね地元の岸和田のだんじり祭りで「前てこ」とか(カーブのタイミングを取る大事なお仕事)とか大工方(屋根の上に一人上がって舞う花形)とかやるよりも(やってもいいけど)、日がな一日「車は入らないで、あっちに停めて」とやっていたことの方がね、100倍かっこいいと思うよ、俺は。


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【新大阪健康道場からのインフォメーション】

近づいてきました、進化体操3月合宿
3月22日〜24日(一泊二日参加可能)

兵庫県宍粟市一宮町スポニックパーク一宮

http://ameblo.jp/sinkataisou/entry-11483138858.html