ようこそ、わが家へ

【読書】

半沢直樹がテレビでヒットして本当によかった。私にとって。


「ようこそわが家へ」も「半沢直樹」の原作者、池井戸潤さんの本である。


前に書いた「空飛ぶタイヤ」も、「ファンタジーかいな、何かいな」というタイトルで、私が大好きな「中小企業のおやじが大企業の横暴と戦って勝つ!」という中身は微塵も想像させない。


一年前に「下町ロケット」を読んだ時にも書いたけれども、これも「東大阪の中小企業が寄ってたかって【まいど一号】を打ち上げたようなそんな話」かなと思ったら、やっぱり特許を巡って中小企業のおやじが大企業のいじめに勝つという話だった。


下町ロケットはほんとに面白かった一晩で読んだ。で、一年後「日曜劇場、空飛ぶ広報室」を毎週せっせと見ていたらやたら「半沢直樹」の予告が流れていたが、それが「一晩一気読み」の下町ロケットの池井戸さんの原作だとは思わなかった。


それを指摘してくれたのは、ネットの「読書グループ」に参加して、せっせと面白そうな本の探索に余念のない家内である。


さっそく原作本を読んだ。下町ロケット的一気に読みたい状態がよみがえった。そこからは池井戸本、持ち歩ける文庫本目につく限りは片っ端から買った。「株価暴落」に至っては、二冊も買ってしまった(買ってないつもりで買っていた)


実は一昨日で、発売されている文庫本はどうやら全部制覇してしまったようである。「ようこそわが家へ」は再読、二周目である。


私の老化した頭脳は、あまりに一気に読んでしまったために、あらすじなどなどを詳細に記憶しておらず、数か月もたつと、8割がた「初めてのような感動」で読めてしまうのである。記憶力が衰えるというのはいいものだ。


で、「ようこそわが家へ」である。ココリコの田中直樹さんと元アナウンサーの八木亜希子さんが主演した映画で、田中邦衛が大工さんだったかな、(ここで検索した。【みんなのいえ】だった)マイホームを建てる話の映画があったけど、そういう中身かな?と想像させるようなほのぼのタイトルである。池井戸中毒にかかっていなければ、決して本屋で手に取らない本である。


ほんとに、池井戸さんはタイトルで読者を獲得しようという気がほとんどないらしい。「架空通貨」や「金融探偵」あたりはまだしも、「ようこそわが家へ」である。これ実は「正体不明の悪質なストーカーらしき輩にマイホームに目を付けられて、とんでもない嫌がらせを受け、傷害事件にまで至る」というとっても怖いお話なのである。


その話の展開だけでも十分に面白いミステリーになっている。が、それだけではない。ストーカーに狙われる主人公、中小企業に出向中の気の弱い銀行マンが、その会社の中での犯罪的行為にも気づき、解決というか収束に導くという話が交差して語られる。こちらだけでも十分に面白い。


一冊でミステリー二冊分の展開が楽しめる。


というぐらい面白い本だということが「ようこそわが家へ」という書名からはまったく想像できない。作家池井戸潤さんおよび出版社の担当者の猛省をうながすものである。


こんな面白い作家と著作群を、俺の目に触れないようにしやがって、という感じである。しかし、これも作家および全編集者および出版社の自身の裏返しかもしれない。一冊でも読んでみたまえ、中毒になるから。そしてそうなったらタイトルなんてどうでもよくなるから。でも読後にそのタイトルを見返したら「ううむ」とうなるから。なのかもしれない。


なぜ筆者が「下町ロケット」直後に中毒にならなかったかというと家内が図書館で借りた本だったからである。一気に読んだら図書館にお帰りになったので著者名を覚える暇がなかったのである。返す返すも残念である。


こんな面白い作家の本を、半沢直樹がテレビ放送されなかったら「放送前に原作読んじゃえ」とはならず、文庫本完全制覇、ただいま2回転目突入という至福の日々を過ごすことはできなかった。
でも結果的にそうなったからいいか。


TBSさん、ありがとう。


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