情報が多すぎると、意識をねつ造してシンプルなストーリーにしてしま

人は意識では動いていません。行動の後追いで、体に命令したという記憶を作ってつじつまを合わせています。

しかし意識でからだの動きをコントロールしていると思い込んでいるので、自分でやっている「つもり」のことは、実際にちゃんとやっていると思い込んでいます。でも実際はとんでもなく見当違いのことをやっていたりします。
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毎日新聞2002年10月6日 書評欄

張競氏評 「ユーザーイリュージョン」より引用

人間が自発的な行為を実行しようとする意図を意識するのは、脳が行動を実行し始めてから0.5秒後である。指を曲げるような動作をするとき、体がさきに動き出し、意識は時間差をおいてその意図を知る。にもかかわらず意識は身体に行動するように指示したと錯覚する。

なぜ感覚器官が捉えた情報は直接体験しないのか。本書によると人間の情報処理能力に原因がある。目、鼻、耳や皮膚から毎秒1100万ビットの情報が入りながら、意識が処理できる量は毎秒わずか40ビットだけである。


意識がそれ(1秒間に捉えた情報)を知覚するには76時間以上、つまりまるまる3日間以上もかかる。身体と同時性を保つためには大半の情報が捨てられている。
また0.5秒の遅れを隠すためには、あたかも刺激の直後に自覚したように、時間をさかのぼって調整が行われ、主観的にはリアルタイムで世界を体験しているように感じている。

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つまり「意識が身体を動かす」というのは錯覚だったと言うことが実験で証明されてしまったということなのです。


人間の行動のほとんどは無意識のうちに、身体がちゃんとやってくれているのですね。そして身体がちゃんとした結果を出した行為を0.5秒遅れて「今こうやれと言った」という記憶をねつ造した場合には、「うん、うまくやれた」ということになっているということでしょう。


ところが、全ての行為がそうかというと、どうも自意識が主導して身体を動かしている例もあるようです。