やることが多すぎて優先順位がつけられない時どうするか その2

『やることが多すぎて優先順位がつけられない時どうするか 中篇』


やらないといけないことと、やりたいことが多すぎて優先順位がつけられないような時にどうするか、というケースの続きである。優先順位がつかないというよりも、やることが多すぎて逆に何にも手が着かないというような場合にスタートの弾みをつけるのに使える。


仕事術の指南書の中で「優先順位をつけて、高いものから処理しなさい」と書いている人には二種類。もっともらしい事を調べたり考えたりして書いている「頭の中だけ」の人と、実際に優先順位の高いものが少し考えればわかるかすでに見えている仕事のできる人である。


頭の中でもっともらしいことを組み立てて書いている人の意見は、いわゆる「机上の空論」化しやすいので参考にしても益がない。


次に仕事のできる人はどうか?


実は参考にならない場合が多い。もちろん仕事ができるほど優先順位の重要性も見えるし、「段取り八分」なんて言葉もあるように実際の仕事に着手する前に山のように準備をしている。


だから一見参考になりそうに錯覚するが、そういう仕事ができる人というのは、仕事の全体像から細部からスケジュールから予測されるトラブルまでが見えている人である。見えているから優先度の高いものを、状況に合わせて変更しつつこなしていっている人である。


じゃあ自分はどうか?


私は「仕事ができない人」である。実際問題やることに追われて何から手を付けていいのかわからないという時には、仕事の全体像も細部もスケジュールも予測されるトラブルもろくに見えていないのである。だから「仕事のできないあなた、いい仕事をするためには優先順位の高いものから処理しなさい」という指摘は的外れである。それが見えるということは、すでに仕事をすいすい片づけつつあるということとほぼ同義である。


実際に、筆者の過去の体験として「する必要のあることをすべて書き出し、優先順位をつける」ということを、休日など時間のある日を使って何度も試みた。結果はどうか?優先順位をつけるためだけに休日の大半を費やした。つまり実際の作業や少しも進んでいないのである。しかも休日を犠牲にして構築されたスケジュールとやることリストは、ほぼ少しも進捗しないでお蔵入りになったことの方が圧倒的に多かった。


「仕事の優先順位をつけて、高いものから処理していくという」仕事のできる人が実行している方法は、仕事のできる人にはきわめて有益であるが(有益というか、すでにそうやっているんだからただの当たり前の話?)、仕事のできない人にとっては優先順位を考えるだけで時間をつかってしまい、ほぼ役に立たない。


だから優先順位が付けられるようになるのは、私がちゃんと仕事ができるようになるずっと未来・後日の話だと考えた方が実情にあっている。


ということは、仕事に優先順位をつけて処理しなさいというよりも、仕事の優先順位が見えてくるような取り組み方を当てはめる方が実情に合う、という考え方に行きつく。


後編に続く