やることが多すぎて優先順位がつけられない時どうするか その3

【私は怠け者だと認める】


優先順位の考え方に「重要度の高いもの」「緊急性の高いもの」などを掛け合わせてやるなど考え方としてすばらしいものがあるが、実感としてもろ手を挙げて賛成できないのは、仕事をする際にその背景にある「なまける」「手を抜く」というつねに私自身に存在している要素がかえりみられていないということである。


重要で緊急なものから順に手を付けていけばうまくいくという考え方は、処理能力は機械のように一定だから、そこで「すぐに売れて」「高く売れるもの」から作っていけば、儲かるよと言っているのである。


残念ながら私はそのようにはできていない。


質の高い仕事を一つ片付けると、「やったぁ!」と安心して怠けるなど日常茶飯事である。緊急性の高い仕事とは十二分に承知しているけれども、アイデアが浮かばないで何も手が着かずに、そのタスクを優先順位のトップに持ってきているから、あとの仕事が一切動かないというようなことこそ私の足を実際問題として引っ張っている。



【改善し続ければいいのだと開き直る】


私にとって必要なのは、ポンコツ自動車をだましだまし走らせるがごとく、エンストしてしまわないことを最優先として、その中に緊急性重要性の高い仕事をこっそりと入れて、つぎはぎだろうと何だろうと終わらせ次につないでいくことである。


そうである。凡人にとってはエンストせず、脱輪せず、コースアウトしないことが最優先なのである。そういう前提で山積みされたお仕事の何から手を付けるのかというこの原稿のテーマに戻る。


緊急性の高いもの、重要度の高いもの、とりあえず手を付けやすいもの、終わらないけれども今すぐ手が付けられる部分があるもの、ルーチン的なもの、作業的なもの、プラン的なもの。何に手を付けたらいいか絞れない。手が付けられない、はかどらない。どうする。



【とりあえず複数手を付けることを並べる】


一つに絞れないなら、片っ端からやればいいのである。といっても一つ一つ終わらせたのでは今までと同じである。片っ端から手を付けると考えを変えてみる。


ただし多少の絞り込みはやった方がいい。3つから5つぐらい選ぶ。何もベストな選択である必要はない。私には本当に優先度の高いものは何かを見抜く力はまだ足りないというスタート位置を取っているから、気楽にやればいいのである。今できる必要はないのである。できるようになる方法を選ぶのである。だから、とりあえず手を付けるものが複数あればいいのである。



【ごくごく短い時間で始める】


今、この場で動かないでできるもの5つ絞り込んだとする。それらを順にやる。考えないでいい。とりあえず手が着けられるものから始めればいい。ただしコツがある。1分しかやらないのである。


5分あれば全部着手できる。ものによってはパソコンの電源を入れたソフトの立ち上がりを待っているうちに時間切れになる。全然かまわない。切りのいいところで終わらない。時間にリードさせるというのが立ち上がりのルールである。


1分ずつ増やすと集中が途切れない人は、1分ずつやればいい。1分、3分、5分、7分でもいい。1分、2分、4分、8分、16分でもいい。とにかくふだん考えられないペースでどんどん次のお仕事に移っていってしまう。これをAKB仕事術では「ヘビーローテーション方式」と言う(冗談)。


とにかくそうやってぐるぐる回しながら、思わず自分が没頭してしまうリズムを選べばいいのである。


仮に1分、3分、5分と三巡やったとする。各タスクを9分やったことになる。このあたりまでくればどうなるかと言えば、簡単な「今日やる必要のあることの書き出し」のような単純かつ短時間で終わるけどする必要のあることなら終わっている可能性があるし、原稿なら書きたいことが浮かんできて「乗っている状態」かもしれない。逆に「いまはとても書けない」ということがはっきりするかもしれない。


終わったお仕事というのは、それ以上「時間票」を集められないのだから「落選」である。そして残ったお仕事というのは、ぐるぐる回しているうちに客観的主観的に比較していることになる。



【続いていく方向に微調整し続ける】


客観的というのは「今やるべき重要な仕事かどうか」であり、主観的というのは「今自分がやれるか、乗れるか」という手ごたえのことである。頭が「この仕事が大事だ」と判定しつつ、身体が「このお仕事今やると乗っていけるぞ」というのを感じているのである。


そうやって片付いたお仕事が選挙戦から脱落し、絞り込まれつつ時間票を集めていくのである。すると、乗っている仕事はついつい時計を見るのを忘れて制限時間を超えてしまうという現象が現れる。票を集めてしまうのである。あるいは逆に「今これをやるべきタイミングじゃないぞ、これは明日でいいぞ」と没になるものも出る。落選確定である。


落選が出たら何か別の仕事を追加してもかまわないし、ひたすら絞り込んでも構わない。あなたが「そういうふうになった方がいい」と感じる終わり方に向かって変化しやすい形を採用していけばいいのである。すぐに怠けてしまう自分にとっては、とりあえず「続いていく」ことが最重要である。頭で考えたら大事だけど、手がつかないのであれば後に回ってもらう。



【優先度が見えてきたらそれに沿っていく】


この方法だと1時間や1時間半はあっという間に過ぎる。すると短時間で終わってしまうことはすでにいくつか片付いていて、長時間かかりそうなことは、だいたいどれぐらいの時間が必要かなどのデータが集まった状態ができる。少なくとも着手する前よりも机上の空論が減っている。この段階で優先順位を出した方が、手を付ける前よりは実態に即している。


何から手を付けたらいいのかわからない時、総選挙をやればいい。一つずつ終わらせるという常識をとりあえず脇へ置いて、複数のことを短時間でぐるぐる回す。そうやっているうちに頭と身体によって「票を集めた」ものに時間を集中していけばいい。


センター(もっとも重要なお仕事)を決めきれなければ選抜総選挙をすればいい。AKBと違うのは、この方法の場合の落選は「あるお仕事の処理ができた」ということだから、敗者がいないということである。